【懐旧譚】第四回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル


こちらは2023年4月29日・5月7日に行われたイベント、『LAWSON presents 第四回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル』の懐旧譚。

 

うじゃのさんのブログはスマホ横画面が見やすいです。


■プレイリスト


「ひたすら私が好きな曲を、ひたすら私が楽しく歌う」というコンセプトのもと二年おきに行われる『雨宮天 音楽で彩るリサイタル』。

 

「私の私による私のためのイベントです!」と言ってのけてしまうくらい、雨宮さんの『好き』が詰まったこの空間。

 

また味わえるのが、本当に、こう、嬉しいね(´×`)


単純に布教イベントとして、音楽好きとしていろんな楽曲を知れるのはとても楽しいのですよね。


そして、ご本家の好きなポイントを「好きな曲をカバーするのに妥協したくない!」という姿勢で高いリスペクトで歌唱してくださるので、布教される側としても、どの声色や歌唱技法が魅力的なのかが分かりやすいのですよね。


そして雨宮さんの歌唱スキルがべらぼうに高いので、曲を知らなくても全然楽しめちゃったり。


いいイベントだ…。


そうだなあ。

 

リサイタルにあたり過去の自分の感想ブログを読み返していたけれど、第三回の感想で言っていたことと、ずっと変わらない気持ちで。

 

なので、そのまま文章を貼り付けて楽しちゃうんだけれど。

 

そうね、本当にリサイタルの、あの時あの場所での互いのやり取りは、なんだかカラオケだなぁーって思っていて。

 

カラオケで自分が好きな曲を心許せる人が「好き」って歌ってくれたら、「この曲好きだったんだ!」って、嬉しかったりするじゃないですか。

 

知らない曲を歌いだしても、「こんな曲があるんだ!」、「こんな曲好きなんだー!」っていう、発見と、なんだか恥ずかしそうな歌い終わりの照れ笑いが入り混じったあの感じ。

 

んー。

 

僕は本当に、リサイタル大好きなんですよね。

2017年に行われた最初のリサイタルで雨宮さんが

 

「ここにいる私の歌を少なからず聴きたいと思ってくださっている方(中略)私がそういう人たちの前で好きな曲であったり、好きになったルーツやエピソードを交えて歌えて嬉しかったです。」

「大好きな曲を歌えて、この曲のこういうところが好きなんだって皆さんと共有できて嬉しかったです。」

 

とお話しされていて。

 

初めてのリサイタル、今でも忘れられない体験なんですけれど、そうやって「自分の好きなもの」を明かしてくれたり語ってくれたことが、とても嬉しくて。

 

懐古おじさんなので繭を吐くけれど、当時はまだそのような語りは馴染みなかった頃。

 

これまで話すに留めていたモノをああやって見せて頂けたこと、共有してもいいかなと、「自分が好きなモノ」や「ルーツ」を語ってもいいかなと思ってもらえたのかなってことが、とてもとても嬉しく、心の純度をぐんっと高めてくれたのです。喉奥の痛みと引き換えに。

 

「語る」っていうのは、誰に語るかですごくハードル高いものだから。

 

御本人の日常を彩る曲、『雨宮天』というアーティストの根底を彩っている曲に触れられるこの機会。

 

今回はそのホールにどんな曲が流れているのだろうとワクワクしながら、スクイズのサインを相手に悟られないようにヘルメットのつばを触り「了解」という合図をベンチに送っていたのでした。


喝采 / ちあきなおみ

(ちあきなおみさんのサブスクないので八代亜紀さんver.で)

 

開演を知らせるブザーが鳴り響き、優しいメロディーに乗っていつものように幕が開いていく。

 

眼前に広がる客席を、うんうんと頷き、凛とした表情で眺める雨宮天さん。

 

衣装は「雨宮天作品集1-導火線-」ジャケット、耳飾りが綺麗でしたね。

 

歌いだされたのは、ちあきなおみさんの「喝采」

 

ゆったり、優しいまなざしで。

何か大切なもに想いを馳せるように。

 

左足で小さくリズムをゆったり刻みながら、右腕を脇腹横に置いての、気品ある佇まい。

 

『いつものように幕が開き』の初めの一節から、ちあきなおみさんの歌唱に対するリスペクトと愛が感じられる歌唱で。

「ああ、リサイタルに来たな」とうれしい実感が胸を染めていたのでした。

 

曲全体としては調子はゆったりおおらかな拍子だと思うんですけれど、そのゆったりの中でAメロはかなり上下にメロディーが動く印象があって。

不思議な高揚感と心地良さを与えてくれる曲だなと感じています。

 

雨宮さんの歌唱もそれがとても心地良くて、綺麗な風景を眺めているように心が澄んでいくようでした。

 

『黒いふちどりがありました』のビブラート気持ちいい...。

 

その余韻に浸りながら、『あれは三年前』という少し不思議なメロディーへ転調していくところ。

なんだか不思議な乗り心地と、そして心地良さがありますよね。

 

Bメロの『あれは三年前 止めるアナタ駅に残し』の、「三年前・止める・アナタ」と区切るタメやそこの息抜き、イントネーションもご本家をしっかり踏襲されていましたね。

 

このタメがあることで音にパワーが宿り、たたみかけるようなリズムで歌声がこちらに迫ってくる印象があって。

だから聴き心地が良くて原曲から好きな部分だったんですけれど、雨宮さんのそれもとても気持ちよかったです。

 

 

1サビの『教会の前にたたずみ 喪服のわたしは 祈る言葉さえ 失くしてた』という歌唱終わり。

 

歌唱された直後、青く明るい光に包まれる姿が印象的で。

教会の青、ステンドグラスを通り抜け降り注ぐ青。

 

本当に綺麗な光景と歌声が心地良かったなあ...。

 

ちあきさんの歌唱に対するリスペクトと、この曲への愛を存分に感じられる数分間でした。


お祭りマンボ / 美空ひばり

《雨宮》

みなさん、こんばんは!リサイタルへようこそお越しくださいました!特別なイベントですので、お祭り気分で楽しみましょう!

(大阪公演 夜の部)

 

ニッカリ笑顔全開で歌いだされたのは、美空ひばりさんの「お祭りマンボ」。

 

ちゃんへい2023さんはアコーディオンへと持ち替え、賑やかなメロディーを奏でていましたね。

賑やかさマシマシで楽しいね。

 

1番は下手端に立ち、楽しそうに会場を煽る宮さん。

 

Aメロ、Bメロの表情豊かな箇所がとても楽しげで楽しくて。

 

そしてサビの「ソーレ ソレソレ お祭りだ」と、美空ひばりさんリスペクトの、快哉を叫ぶかのような、晴れやかで伸びやかな歌唱。

 

晴れやかすぎて、いろんなこと忘れて気持ち晴れやかになってニコニコしちゃうね。

 

ちあきさんリスペクトの歌唱から、ガラッと異なる声色での歌唱にビックリしちゃいますよ。

 

本当に楽しげで声の張りが最高。

今すぐスタンド席に移ってワッショイしたくなるくらい、景気があって楽しげな歌唱だったなあ。

 

「そのまた隣のおばさんは」と歌唱しながら、嬉しそうに上手へ移動する雨宮さん。

 

「意気な素足に しぼりのゆかた」の味のある歌唱が、得も言われぬ景気の良さを讃えていましたね、

 

間奏、クラップも加わり賑やかなお囃子にうれしそうな雨宮さん。

お腹に力を入れて、

 

ワッショイ ワッショイ

ピーヒャラピーヒャラ

テンツクテンツク

楽しいね!!

 

Dメロになると一転、曲調が寂しくなって。

 

この曲、こんなダークな一面もあったんだって新発見でしたね。

 

僕自身、ヒット曲紹介系のテレビ番組やラジオ番組で紹介されるこの曲は華やかな部分しか見聞きしなかったので、急な転調と雨宮さんの声色変化に驚きと物悲しさを感じたのでした。

 

「ほんにせつない」の物悲しい込め方がほんに切なくて...。

 

「物悲しさ」の演出も、雨宮さんの表情付けが色濃いなという印象を声色から受けて。

 

物悲しい歌声からの、ラスト「あとの祭りよ」のニカッと笑いとばすような快哉。

 

その表情付けや表情の移ろわせに「声優らしさ」を感じられて、なんだか嬉しくなったのでした。

 

それにしても、面白い曲ですよね。

一曲の中に「日本舞踊」「お笑い」「演劇」といろんな要素が盛り込まれていて。

 

《雨宮》

すごいんですよね、美空ひばりさんの表現力が。まるで演劇を観ているようなんですよね。

(大阪昼の部)

 

とお話しされているように、一曲の中で「お祭りの賑やかさ」から「祭りの後の寂しさ」への移ろいがまるで短い演劇を観ているかのように歌われていて。

 

悲劇的な歌詞なんだけれど、この曲に限らず、美空ひばりさんの歌唱はそんな悲劇的な歌詞を「ワッショイ ワッショイ」と喜劇的に笑い飛ばすかのような、堂々とした力があるなと思っていて。

 

今回の雨宮さんの歌唱からもそこへのリスペクト、エッセンスを感じられて、元気をもらえたのでした。

 

え、この曲の発売、1952年なんですか??????

 

それにしても歌詞ほんとすごいですよね。

#人生 な曲だね。

 

曲終わり、じゃーんっ!少し照れた様子で、でもとても嬉しそうな雨宮さん。

かわいいね、うれしそうでうれしいね。


MC1

《雨宮》

みなさん、こんにちはー!第四回、あ、『LAWSON presents 第四回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル』へようこそお越しくださいましたー!雨宮天ですー!よろしくお願いしますー!

うわー、すごい、こんなに人が来てくださるとは。ねー、さすがに四回となるとご存知かもしれませんが、リサイタルは特殊なイベントなんですよ。なので、幕が上がる時に誰もいないことを想像してたりするイベントなんですよね(笑)

このイベントは「私の私による私のためのイベント」なので、みんなのことなんて知らずに私が楽しむイベントです!(笑) それでも優しいみなさんに見守られ、やさしい笑顔の中で一人カラオケのように、気軽に歌っていきたいと思います!

(大阪昼の部)

 

この、本当にリサイタルらしい挨拶を聴いて、また二年経ってこの雰囲気を味わうことができるんだという多幸感がぞくぞくと足元から迫り上がってきたのでした。

 

大阪昼の部では、キーボードを務めるちゃんへい(別名:荒幡亮平)さんが無事このたび「ちゃんへい2022」から「ちゃんへい2023」にアップデートされたことが報告されましたね。

よかったよかった。

 

もう「ちゃんへい」の襲名から3年ですか。素敵なパフォーマンスで長いお付き合いになっていて嬉しいですね。

ちゃんへい2434(にじさんじ)、期待しています。

 

降雨の中開催された大阪夜の部では、

 

《ちゃんへい2023》

雨止んでた? あー。 あのさ

 

《雨宮》

はい…(笑)

 

《ちゃんへい2023》

そこそこライブ一緒にやるようになって、うすうす思い始めてたんだけれどさ...。

 

《雨宮》

ふふっ…(笑)

 

《ちゃんへい2023》

ひょっとして民の方は当たり前だったりする...?

あー、そうなんだ(笑)

 

《雨宮》

ちがうんですよ、民のために大地をうるおそうと、ね。

今回も私の、こう、雨乞い力でね(笑)

お足元の悪い中ありがとうございます。

 

と何かに気がついてしまった、ちゃんへい2023さん。

 

一週間後の東京公演昼の部。

 

《ちゃんへい2023》

すごいよね、今回のリサイタル、ゴールデンウィークの初日と最終で、すごくいい天気ですよね。

 

またしても何かに気がついてしまった、ちゃんへい2023さん。

 

《雨宮》

ね、びっくりした。あんなにカラッとして気持ちよかったのに、

 

《ちゃんへい2023》

起きて笑ったよ

 

《雨宮》

ふふっ(笑) ごめんね。いや、謝ったら負けかなと思ってる節あるんだけれど、お足元悪い中来てくださってありがとうございます(笑)

 

《ちゃんへい2023》

でもさ、天ちゃんも生まれる時代ちがったら神だもんね。

 

《雨宮》

そうなんですよ。作物は何で育ちますか?もう副業で雨乞いやろうかな(笑)

 

この雨も良き思い出になるから良き良き(´×`)

 

曲間のMCでは都度、雨宮さんのマシンガン布教トークが展開されていましたね。

 

リサイタルはニコニコぺらぺらと語られるこのマシンガントークを、眼福眼福と目で愛ながら、しゃかしゃかとペンを持った手先を動かすのが何より楽しいのですよ。

 

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「喝采」については、ちあきさんの低音の歌唱やドスの効いたような深みのある歌唱を賞賛したり、第14回日本レコード大賞を受賞された際の涙交じりの歌唱映像を布教しつつ、

 

《雨宮》

この曲の歌詞の1番最初が「いつものように幕が開き」ではじまるので、ね(笑) この曲で幕が開いてくって主人公の気持ちになれるかなって1曲目に持ってきました。

(大阪夜の部)

 

と照れ照れしながらお話しされていましたね。

幕から覗いたお顔が少しニヤニヤされていたのは、その照れもあったのかなあと、頬が緩んだのでした。

 

 

《雨宮》

歌詞もストーリー上になっていて、主人公の女性歌手の気持ちになれるかなって。この曲のいいところは、歌詞を見て曲を聴くと映画のようにストーリーが流れていくんですよね。それがわかった後に、タイトルを見ると「喝采」。良いですよね。わかります?ぜひ聴いてみてください、もうこれは宿題とさせていただきます(笑)ご本家も歌詞を淡々と歌うのが物悲しくて良いんですよね。

 

マジプレゼンと「宿題」という言葉選びはめちゃくちゃ笑わされましたね。

この物語生の中で「喝采」というタイトルなのが、アイロニックで味わい深いですよね。

 

《雨宮》

Bメロの、息抜の抜け感が好きなんですよね。

(笑うちゃんへい)

「3年前」「あなた」のところの抜け感、わかる?いいですよねー。死を歌った曲なんですけれど、淡々と歌われていてそこに物悲しさを感じるんですけれど、だからこそ、その中でのBメロの息の抜きがより素敵ですよね。

(東京夜の部)

 

と、「喝采」の好きポイントである『息の抜け感』を語るあまり、好きが溢れて狂言師野村萬斎みたいな動き見せていた東京夜の部の雨宮さんが好きです。

 

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「お祭りマンボ」については、

《雨宮》

この曲は、リサイタルで歌ったら楽しいんじゃないかって思って、リサイタルってお祭りイベントだからさ。ひばりさんの映像もいろいろ観たんですけれど、毎回ちがうんですよね。ひばりさんはその日その日の映像を観せてくれるんですよ。

(大阪夜の部)

 

と、選曲理由交じりに、ひばりさんのパフォーマンスの魅力語り。

賑やかで楽しい時間でしたね。

 

大阪夜公演での、「今日布教しにきてますから!!」と熱のこもった演説に、爆笑するちゃんへー2023さん。

素敵な光景だ。

 

東京昼公演では、

《雨宮》

ぜひね、ご本家の動画を見ていただきたくて、どれもこれもひばりさんが楽しそうだし、お客さんも楽しそうで。そうだよな、歌い手が楽しそうだとお客さんも楽しいよなって、改めて教えてもらった曲でした。

 

ともお話しされていましたね。

同様に夜の部では、「映像を見るとパフォーマンスが毎回違うんですよ。その中でもひばりさんが「ワッショイ ワッショォーイ!」って、こう、暴力的にやってくれたりもするんですよね。CD音源ももちろん素敵なんですけれど、ぜひ映像を探してもらって観てもらえると、解釈一致です。」ともお話しされていて。

 

「歌い手が楽しそうだとお客さんも楽しいよな」か、素敵な発見だ。

 

逆もまた然りでありたいものね。

 

そうだなあ。

このリサイタル、本当に、本当に楽しくて。

 

今こうして各曲でのノートを見返すと、「うれしそ天」「たのしそ天」っていう嬉しそうな殴り書きが多々見受けられて。

 

楽しそうだから楽しいし、嬉しそうだから嬉しいんだよなあと。


初恋 / 村下孝蔵

椅子に腰かけ歌いだされたのは、村下孝蔵さんの「初恋」。

 

哀愁のある落ち着いた「五月雨は緑色」の歌唱入りと、壁陰に映る木々のシルエット。

 

いやいや、ええいやあ、前曲との声色の切り替わりがすごいなってビックリしますよね。

 

さっきまで「わっしょいわっしょい」してたじゃんって。

 

原曲の村下さんの爽やかで、でも透き通る歌声の中に哀愁のある歌唱が好きなんですけれど、雨宮さんの歌唱からもしっかりそのエッセンスが感じられて、本当にこの人は何者なんだ?ここまで3人出てきた?と。

 

そんな戸惑いすらもう慣れてしまい、ほらね、この人すんごいのよと、ほこほこしていたのでした。

この「ほこほこ」は誇らしげの方。

 

甘酸っぱい歌声と綺麗なメロディー、癒し空間。

一転「浅い夢だから」が報われない初恋感あって切ない...。

 

脚を組んでニコニコ歌ったり。

間奏でメロディーに乗り少しだけ左右に揺れる姿が愛しくて。

 

雨宮さんは直後のMCで、

 

《雨宮》

ここに座って初恋を歌わせてもらったんですけれど、ここにね、座ったのは村下さんって座ってギター弾いているイメージがあるんですよね。なので私も座って雰囲気を出してみたりしました。

(大阪夜の部)

 

とお話ししていましたが、僕にはなんだか「カラオケっぽさ」が感じられて、ほこほこしたのでした。

この「ほこほこ」はほっこりの方。

 

落ち着いた曲なのにすごい瑞々しくて、大好きな曲なんですよね。

 

ご本家リスペクトの、甘酸っぱくて爽やかなほんと素敵な声色だったな...ずっと陶酔したい...。

 

曲終わりのライティングと光に溶け入る姿が、初恋の時間が思い出に消えていくようで、美しかったですね。

 

東京公演夜の部では、歌唱終わりアウトロのメロディを聴きながら、一瞬、ひと息ふーっと吐きながら微笑みをたたえていたシーンがあって。

 

あの充足感ある幸せそうな笑顔を、あんず色の空を見るたびに思い出すのだろうなあ。


君は薔薇より美しい / 布施明

《雨宮》

手拍子くださーい!次はこの曲、「君は薔薇より美しい」!

 

前々から気に入られているのはブログやラジオでお話伺っていたけれど、「それ歌うんだ」って、タイトルコールに思わずニヤニヤで応えちゃいましたね。

 

雨宮さんもタイトルコールから歌い出しまで、ポップなメロディーと手拍子に包まれ、ニヤニヤ楽しそうで。

 

フレーズフレーズの単語の切り方や母音の残し方に、この曲への愛とリスペクトが多分に感じられましたね。

 

原曲は、布施明さんの歌声を初めてこの曲で聴いた時に思わず「マジかよ」と笑ってしまうくらい男前で、イケボですよねホント。

 

でも、キーを調整しながらの雨宮さんの歌声もめちゃイケボでねぇ...。よかったねぇ...。

 

各公演、この曲でノートに書き綴られたワード。

「脚なげぇ」

 

パンツスタイルの素敵な衣装で、誘惑的な美声を纏い、上手下手と手を差し伸べながら巡る雨宮さん。

 

知ってるぞ、これ!!

ディナーショーで女性客の円卓を巡る男性歌手のやつだ!!

 

いやあ、惚れちゃうよ、こんなの。

もう聴き惚れちゃったもん。

 

目に見えない翼ひろげて」の歌い方がイケメンすぎる…。

 

1サビ終わり、「Fooo!!」と楽しそうなお宮さん。

 

東京夜の部、ジャケットの裾をはためかせ、2Aメロを歌唱しながら颯爽と歩く背中。

かっこよすぎやしねぇか…。

 

朗らかに生き生きとして、元気が出る歌声だったなあ...。

ほんと楽しそうなカラオケだった...。

 

ラスサビ「変わった」のロングトーン、すごく楽しそうでニコニコしちゃうね。

 

オーラスの東京夜の部では、「変わったぁ〜ぉ」と少し興奮気味に着地しちゃってて、楽しそうなのが嬉しくなっちゃったのでした。

 

 


MC2

「初恋」については、

《雨宮》

村下さんの歌声は爽やかで、歌詞の日本語も綺麗で。古風というか、全体も爽やかでピュアで、洗練されていますよね。

(大阪夜の部)

 

《雨宮》

村下さんのボーカルも爽やかだし、キュッとするメロディーですよね。あとさ、「五月雨の緑色」「夕映えはあんず色」これなんですよ(笑) ノスタルジックで現代(いま)とはちがう時間の流れを感じさせてくれる曲ですよね。

(東京夜の部)

 

とお話しされていましたね。

そう、歌詞がすごく綺麗で聴いていると風情があって心地良いんですよね。

 

以前、何かのラジオ番組で「村下孝蔵さんは英語を歌詞につかわず、万葉集や和歌などの美しい日本語にこだわっていた」というようなお話を聞いたことがあって。

 

だから「そこに着目する雨宮さん、さすがだぜ!!」とビリビリ痺れてたり。

 

いやあ、ほんとその通り、村下さんのこだわりがとても魅力的で綺麗な歌詞なんですよね。

 

その美しい歌詞を乗せるメロディーもまた清々と美しくてね。

雨宮さんも東京夜の部で、「すべてのメロディーが胸を掴むようで素敵なんですよね。爽やかなんだけれど、こう、伝わるかな、クラスの中のイェーイ!って感じじゃないおとなしい子が歌っているような歌声で、ね。そう、だからなかなか言えない初恋があって良いですよね。村下さんの歌声は爽やかだけれど優しさのある歌声で素敵ですよね。」ともお話しされていましたね。

 

特に2Aの風情が好きで。

 

夕映えはあんず色 

帰り道一人 口笛吹いて

名前さえ 呼べなくて 

とらわれた心 見つめていたよ

 

頭に置かれた「夕焼けはあんず色」

夕焼けの色として描かれがちな「あかね色」じゃなくて、「あんず色」の頃合いを呈しているのがすごく好きで。

 

あかね色にはまだ早い時刻、陽が少し沈み始めた頃かな。

 

サビで歌われている「放課後」という歌詞、授業終わり、実際自分たちが体験してきた春から初夏の16時ほどの「放課後」頭に浮かんで。

 

あんずは、梅より甘く、桃より酸っぱくて、手のひらで包み込めるほど控えめに小さな果実。

 

帰り道に誰かを想いながらひとり見やる夕映えを通して、「名前さえ呼ぶのも憚られる」初恋の、控えめな甘酸っぱさを印象付けるとても美しい形容だなと。

 

聴くたびにキュッとするというか。

そう、「キュンッ」じゃなくて、「キュッ」なのが美しいこの曲の魅力なのかなあと。

 

しかも、あんずが色づく季節は6月下旬から7月下旬。

1番の出だしでの「五月雨」は現代の暦でいう6月の季語で、途切れがちに繰り返したり、だらだら続いたりするさまとして好んで詠まれる情景。

 

五月雨の様にうだうだ繰り返し続きながら、時折覗く「あんず色」の心模様。

 

キュッ...。

 

季節感的にも統一感を残していて、甘酸っぱい青春小説の様相を呈している素敵曲ですよね...。

 

 

僕がめっちゃ語ってしまった。

 

---

 

「君は薔薇より美しい」については、ライブでアドリブを入れてくれる布施さんの茶目っけも布教しつつ、

 

《雨宮》

これねー、あれよ、本家がかっこよすぎて(笑) でも歌詞だけ見たら、なんて上から目線な男なんだって(笑) なんでそんなこと言えるんだ?って(笑) でも、布施さんの歌やパフォーマンスを聴いたら説得力がすごいんですよね。めちゃめちゃかっこいい声と声量で、もう惚れるしかないですよね。 

(大阪昼の部)

 

と苦笑されていたのがあたたかく印象に残っていますね。

こんな歌詞歌えるの、こんな男っ前な歌声と美形な風貌を併せ持つ布施さんしかいないですよね...(笑)

言われてぇもん、こんなこと。

 

「歌っているとめちゃめちゃイケメンになった気になるんですよね(笑)」とお話されていましたが、もうパフォーマンスから「イケメン」の色香が凄まじくて、笑ってるうちに惚れました。

 

《雨宮》

そうそう、今日女の子けっこういらっしゃいますよ…ね?あ、ありがとーございますー。なので、女の子に歌うようにちょっとカッコつけて歌ってみました(笑) 

(大阪昼の部)

 

心の中の女子的な人格がキャーキャー言うてましたわ...。

 

《雨宮》

 

伴奏もメロディーもすごくオシャレなんですよね。歌い方もフォールが、「ひさしぶりねと〜」という、これ、しゅき〜。マジでご本家がかっこいいので、ぜひおうちに帰って聞いて布施さんに惚れてください。

(東京昼の部)


都会逃避行 / 雨宮天 (大阪昼)

かっこいいーーーーー!!!

イントロからかっこいいーーー!!

 

イントロ、ちょっとエレクトリックで、ネオン照らす夜の都会を疾走している感じがかっこいいですよね。

聴いていると「キャッツ・アイ」みたいな昭和セルアニメのOP映像が頭に浮かんできます。

 

そのイントロや間奏のところで、雨宮さんが決めていくポーズのひとつひとつが本当にかっこよくて。

かっこよポーズ、全部ブロマイドにして売ってください。

 

「この曲は実は前から作ってあった曲なんですけど、THE 歌謡曲というイメージで作っていて、歌詞の中にも歌謡曲に出てきそうな言葉をちりばめたいという私の思いが込められています。」

雨宮天が全収録曲を自ら作詞作曲!歌謡曲への愛と情熱に満ちた「雨宮天作品集1 -導火線-」完成

 

いや、ほんと、雨宮さんが歌謡曲でやりたいことがこれくらいのお弁当箱に詰めに詰め込まれているなと感じた曲ですね…(笑)

 

「摩天楼」とか「少女」とか、「体温(ぬくもり)」とか、「ミッドナイト」とか。

それを言うなら、「メッキ」「ネオン」「逃避行」だって。

 

 

現代のJ-POPでは聴く機会が減った言葉が多数用いられている印象があるなあと。

 

そのこだわりがあたたかく届いて、笑顔になれたよね。

 

「ネオンエスケープ」とルビが振られているタイトルの「都会逃避行」。

 

ここ1,2年、インタビューやラジオで「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」(歌:中原めいこ)の歌詞にある「果実大恋愛(フルーツ・スキャンダル)」が好き、みたいな話を熱量高く届けてくれていたことを思い出しますね。

「TRIGGER」以外の収録曲解禁の時、謎の漢字横文字に謎のルビが振られていて、「あ、雨宮やったわ」って思ったものです…(笑)

 

この曲を語りたいんだけれど普通に1万字くらい書いてしまうので、先に好きなところ書いておきました。(note後述)

そこから掻い摘んで、小話を。

 

Bメロの「メッキの愛は錆びついて」/「自由もきらめきも捨てて」と、

サビの「白金の鎖も 愛(うそ)も振り払って」/「白金の鎖も 自由(うそ)も振り払って」

 

Bメロの歌詞にある「愛」や「自由」。

それぞれが、感情が駆け出すサビ部分では「うそ」という表情を見出されている点が、なんだか小説的な物語性を感じられて好きなんですよね。

 

雨宮さんがこの曲のイメージについて、

「イメージとしては、少女が夢を持って都会に出てきたけれど、都会のごちゃごちゃした感じとかウソとかが合わなくて、田舎に帰ろうかなと考えているときの話ですね。それをかっこよく歌った曲になっているので、その歌謡感を楽しんでいただけたらうれしいなと思います。」

(「声優グランプリ 2023年3月号」)

 

とお話されていて。

広がるね、解釈妄想が。

 

このサビで歌われている「白金の鎖」は1Bメロにあった「プラチナ」のネックレスかな。

 

これは着飾りのアイテムだと捉えていて。

というよりは、彼女が都会で頑張った証として手に入れた証なのかな。

 

煌めく都会で輝くために頑張って、すり減らしながら自分を磨いて。

そうやって少しでもこの街の煌めきに見合うように、手に入れた証。

 

この人はすごく「自分でできちゃう」人で、人に頼るなら自立を選ぶタイプなのかな。

でも、それはきっと、自立ではなく孤立を選んでしまっていたんじゃないかなあって。

 

田舎から都会に出てきたのだってそうで、自由を得てもそこにまた孤独を感じていて。

抱き合わせなんだろう、孤独と自由はいつも。

 

そしてそんな折にふと、気がついてしまったんだろうな。

何かに疲れている自分に。

 

何を見つめたくてこんなに頑張ってんだろう、とか。

何にふれてこんなに走ってんだろう、とか。

何を掴みたくて諦めてしまったんだろう、とか。

何になりたくて立ち止まったんだろう、とか。

 

自分に向けられる愛や手に入れた自由も「うそ」と感じられるほどに。

 

 

 

なんだかそういう主人公を想像すると、すごく親近感を覚えるというか、こういう人好きなんだよなあ。

 

「指の振り」ってメモがあるけれどどこだ...

光景だけは頭に浮かぶんだ...どこのフレーズだ...

早く...答え回収する機会を...

 

Bメロ「鏡に映る女(あなた)は誰なの?」の部分。

「鏡/女」での、メロディーに乗せて肩揺らす振り、すごく、好き...。

前回のリサイタルでも歌唱された中森明菜さんの「十戒」を連想する振りですよね。

 

サビ「白い翼広げ」/「白金の鎖も」「白い翼」/「白金の」は静かな振りなんだけれど、「広げ」/「鎖も」で広めにステップを踏みながら歌唱されるところ、躍動感あって好き...。

 

そう、この曲の振りが見惚れてしまうほどかっこよくて。

 

「TRIGGER」や大阪夜公演で歌われた「マリアに乾杯」でも多分に感じられたのですが、すごくダンス頑張っていらっしゃるなって。

 

以前、踊ることについて13thシングル「Love-Evidence」のインタビューで

 

「ずっと自分の中で踊ることを肯定できないまま、ズルズルと踊ってきてしまったようなところがあったから、そんな自分をちょっと変えたくて。やるんだったら前向きな気持ちでやりたいし、前向きにやれないんだったらもうやめたほうがいいって思ったんですよ。逆にこの曲でダンスがうまくいったら、それを自信にして今後もパフォーマンスの一つとして頑張っていこうと決めたので、かなりおうちで練習したんですけど、やっぱり私はダンスが苦手だから、まず泣くところから始まって。」

(声優グランプリ 2022年6月号 33頁)

 

と、かなりの覚悟を持ってダンスに挑んだ旨をお話しされていましたね。

併せて、

 

「最終的には完成したものを自分で見たときに、ちゃんと絵になっているなと思える出来になっていたから、ダンスを完全にやめるということはなくなりました。」

(声優グランプリ 2022年6月号 34頁)

 

ともお話しつつ、実際に「Love-Evidence」のMVではバッチリと踊りこなす姿と、苦手さなんて微塵も感じさせない笑顔を届けられていて。

 

そうやってこれまで幾度も、意志を持ってしっかり考えながらアプローチしていく姿勢、そしてそうやって届けられたものに感じられるこだわりに心を動かされてきたのでした。

 

少し話が一塁ベンチ方向に逸れましたが、ダンスも表情も、明菜さんリスペクトだったのかな、最高にクールで、かっこよくて。

苦手意識なんてこちら側に感じさせないほどに。

 

すごいなあ。

 

ラスサビの「都会逃避行(ネオンエスケープ)」のロングトーン。

CD音源からこのロングトーンの味っけがとても好みで。

 

リサイタル歌唱でも、なんかこう、ビブラートが明菜さんを彷彿させるような振れ幅の大きなものになっている印象があって。

 

このビブラートや、曲全体にある「影」を孕んだ歌声もそうだけれど、明菜さん楽曲に通ずるような表現が多く用いられている感触があって、多大なリスペクトを感じました。

 

でも単にモノマネというものではなく、雨宮天が歌うこの「都会逃避行」という曲の中で、主人公の気持ちの強さや内面的な憂いを描く装置として、その歌唱表現が見事にハマっていて。

だからこそ、こちらへ訴えかけてくる哀愁や強さがあって。

 

んー、ほんとうに、見事だなと思ったのでした。

いろいろ喋ろうとして最終的に語彙がなくなって同じこと言い出すの、オタクって感じある文面になってしまった。

 

そうだなあ、そんな世界からの逃避行。

「逃避行」ってなんだか不思議な言葉だよなあと思っていて。

 

「逃げる」って言葉を現代人だからか後ろめたく使ってしまう。

 

でも、「逃避行」っていう言葉はどこか愉しげというか心に余裕があるというか、ポジティブな主体性を感じるんですよね。

 

投げやりな放棄や悲哀的な離脱とかじゃなく、割り切って選択した意志みたいな。

 

並べられた歌詞にも、歌唱からもその「自分だけは手放さない」というような意志を感じられて、すごく「逃避行」っぽい感じがあるなと思う。

 

アウトロ締め、そうやってネオンに照らされた姿は、すごくカッコよく映ったなあ。


マリアに乾杯 / 雨宮天 (大阪夜)

曲入り前、こちらに背を向ける雨宮さん。

 

「百合を移した 白い首筋」で首だけ半身振り返り、片手で髪を肩口に流し首筋を露わに。

「薔薇でなぞった 赤い唇」で逆方向に振り返り、艶っぽい表情を覗かせる。

 

むせるほど薫り立つ色香に圧倒され、思わず息をのんだのでした。

 

色気やべぇよあそこ...。

良い子に見せられないよ...。

 

百合を移した 白い首筋

薔薇でなぞった 赤い唇

むせるほど香り立つ色香

 

この前奏がたまらなく好き。

 

前奏のメロディーラインはゆったりで、「ヒーロー見参」の趣がある。

混沌とした戦場が一気に静まり返り、荒地の砂煙の中から影が浮かび上がりながらこの前奏が流れてそう。

 

かっこいいね。

そこに流れる歌詞も、ただならぬ強者感があって。

強い、強すぎるよ…。

 

高校野球の応援歌っぽさもある前奏ですよね。

ゆったり静かな、でも揺るぎのない風格があって。

仕事人的な選手の応援歌。

 

昭和歌謡といえば、「サウスポー」や「タッチ」、そしてこの曲に大きなインスパイアを与えている山本リンダさんが歌唱されている「狙いうち」と、野球の応援歌に用いられている楽曲が多いですよね。

 

この曲もそういったヒロイックな風貌がメロディーにあって、そういう系譜にありそうな曲ですよね。

前奏が終わってイントロ〜Aメロの華やかなブラスバンドの演奏が、甲子園のアルプススタンドから聞こえてくる様子が脳裏に浮かぶなあ。

 

前奏部分、学校や選手によって替え歌になってそう。

僕が球児に戻ったら、この曲を応援歌にお願いしたい。

(でも高校野球のスピード感なら前奏終了までに3球くらい投げ終わってそうだな...(笑)

 

イントロ、メロディーの拍に合わせてクラップを煽る宮さん、かっこよ...。

この部分のクラップ、楽しい楽しい...。

 

1Aメロは下手端で客席を誘惑するかのように歌唱。

 

そしてBメロを圧倒的に歌い上げながら、タッタターンとステップを踏みつつ上手へ移動。

圧が、圧が強い。

 

雨宮さんが大阪夜の部で「厚かましい美人」というワードを用いていましたが、このBメロの「厚かま美人ステップ」が強烈な印象を与えてきましたね。

 

この曲は本当にすべてが「厚かましい美人」って感じのパフォーマンスで。

 歌唱も、ステップも、表情も所作も。

 

CD音源では、頭の中でイメージした映像は「ルパン三世の峰不二子」だったんですよね。

まさに「自信満々で艶っぽくて、でも大胆不敵で嫌味のない人」って感じ。

 

でも、このライブのパフォーマンスで一気に山本リンダさんご本人になりました。

というか、Bメロの、あの厚かましさ満載のステップで縦横無尽に移動する雨宮さんかな。

 

でもその「厚かましさ」がかっこよくもあって。

 

色気があって、自信満々で厚かましいけれど嫌味じゃないし、それがむしろ心地良いしカッコいい、みたいな。

 

心の端ひそかに暮らしている麗華女学院高等部2年生徒会書記の女学生的な人格が、きゃーーーーーー!!(>_<) と鳴っていましたわ。

 

女性が好きな女性ってこういう人なのかなとも。

 

妖艶に圧倒してくる厚かましいまでに凛とした姿と、縦横無尽になんて楽しそうな雨宮さんの姿。

 

「魅せる」というよりは、「うあああ!ぜんぶ魅せつけてくる!!」感じのパフォーマンス。

「魅せつけてくる」、めちゃくちゃ適語かもしれん。

 

でも不思議とそれが、歌詞で歌われているように目が離せないものになっていて。

思わずノートに「じょうほうりょう!!めっちゃみせつけてくる!」と書き殴ってしまうレベルに虜になっていたのでした。

 

「世界ごと」の振りが好きだったらしい。

映像記憶、ありません!!

どんな振りだったかな、でもきっとまた好きになるな。

 

「ほらいい子のワンちゃんできあがり」の声色と振りもよかったですよね...わんわん...

 

ラスサビ入り、ステージど真ん中に立ち「私からあなたへ」でピンと天を指さすところがカッコよかったな...。

ライティングも「ただならぬオーラ」を演出しているようで。

 

ポスターでください。

 

いやー、ほんとパフォーマンスの厚かまs...熱量が高くてめっちゃ楽しい曲だったな...。

 

聴いていると、こういう自信家の人に気持ちよく乗せられて頑張れちゃう感じがあるよなあと受け取っていて。

 

「Queen no' cry」や「BLUE BLUES」みたいにこういう「強い人の姿」を描いたような曲をこれまで雨宮さんの曲で何曲か聴いてきたけれど、「マリアに乾杯」は今までにない気分の高揚を覚える曲だなあと感じていて。

 

落ち込んでいる時や朝通勤のまだ気分が上がりきっていない時に聴く「Queen no' cry」や「BLUE BLUES」の気分の上がり方、バフのイメージは「雨嘯」。

雨に濡れて覚える寒さやどんよりとした気分なんてお構いなしに、自分の気持ちに嘯いて強く前を向き歌う、みたいにテンションをあげてくれる曲だなあって感じているんですけれど。

 

一方で「マリアに乾杯」はそことは少し違くて。

 

流れてくると気分を高揚させてくれそうな曲ではあるんだけれど、「気分の乗せ方」が違うというか、「掌の上で転がされていつの間にかその気にさせられる」、そんな感じ。

 

ルパンだね。

 

リサイタルだけじゃなく、他の導火線楽曲たちもそうだけれど、普段のライブでもこのパフォーマンス浴びたいな。

 

---

歌謡曲の「マリア」といえば "いい女" の代名詞的なところがある。

健気で、何があっても穏やかな微笑みをたたえ包み込んでくれる。

そういう"いい女"。

 

でも時には、そんな心の綺麗なマリアの傷ついた内面にフォーカスした吉田拓郎の「裏町のマリア」みたいな曲もあって。

そういう「マリアらしくないマリア」な曲の方が僕は琴線に触れることが多いんだけれど、この曲のマリアは、たぶん「歌謡曲史上最強にカリスマ性のあるマリア」なんじゃないだろうか。

 

 

キリスト教の聖母マリアは赤い衣服と、そして必ず青いマントを羽織って描く、という約束事がある。

 

『赤色』は血、生命を産む母の色。

『青色』は天の色、つまり海や空、包容力を指し示す。

つまり、この場合の『青色』は暖色の青だ。

 

繰り返される生命の営みを人間の手の届かない領域で青が包み込んでいる、聖母マリアの宗教画にはそういう「包容力」的な慈愛の意味合いが込められていたりもする。

 

僕らが曲の中で夢見がちな「マリア」はそういう、健気で、何があっても穏やかな微笑みをたたえ包み込んでくれる、そういう"いい女"。

 

でもこの歴代最強のマリアさんは「私が先導してやるからついてきな!」感あって。

その人を慕い色々な人々が集っている情景がまざまざと浮かんできて。

 

こういうマリアも、好きだなあ。

 

私からあなたへとぶつけた視線は導火線

脈打つ鼓動 破裂しそうでしょ?

世界ごと 宇宙ごと 私の虜にしてあげる

この世の全部 飲み干すわ

乾杯 乾杯 乾杯 乾杯

 

「包み込む」という歌詞こそ出てこないけれど、マリアの本質的なものである「包容」の因子は感じられる曲だなとも思っていて。

でも、「包み込む」をさらに超えて「虜にしてあげる」だもんね…(笑)

 

だからこそ、「俺たちにはこの人がついてる」と信頼できるような頼もしさがあって、そのエッセンスが、聴く者の足取りを軽くさせるんだろうな。

 

刺激的でカリスマ性の塊だね、斬新なマリア像で。

とても好きな曲です。

 


MC3

大阪公演では初披露となった2曲についてお話をしていましたね。

 

中森明菜さんをイメージして作られた「都会逃避行」を歌唱された昼公演では、リハでやるたびにちゃんへい2023さんがこの曲を褒めてくれることを明かしていらっしゃいましたね。

 

「やるたびに最高」と、本番でもベタ褒めのちゃんへい2023さん。

 

---

 

「マリアに乾杯」を歌唱された夜公演では、制作にあたり何回も山本リンダさんの映像を観たことを明かし堰を切ったように開始される怒涛の「山本リンダプレゼン」。

 

産み落とされた、「厚かましい美人」というワード。

 

《ちゃんへい2023》

Aメロの歌い出しから歩き方がリンダさんだったもん(笑) 

 

《雨宮》

あはは(笑) 私も歌っていてリンダさんが頭にいて、楽しかったです。でも、歌うまで、展開がある曲なのでめちゃめちゃドキドキしていたんですけれど。


イミテイション・ゴールド / 山口百恵

これまで演奏していたちゃんへい2023さんに加え、ヴァイオリンとしてミ子さんをお招きする。

 

《雨宮》

リサイタルすごいことになってきましたね(笑) 歌謡曲はピアノもヴァイオリン似合う曲多いですよね。楽しんでください。

(大阪夜の部)

 

《雨宮》

本当にこの時間はめちゃめちゃ特別な時間になると思います。耳かっぽじって聞いてください。「イミテイション・ゴールド」

(東京昼の部)

 

わーーーーー!!!

わーーーーーーーーー!!!!

「イミテイション・ゴールド」だあああ!!!!!!!

 

めちゃくちゃ、くちゃくちゃに嬉しかった...。

僕はこの「イミテイション・ゴールド」が歌謡曲の中で1番好きな曲だったりします。

 

だから、こう、だいぶくどいくらい、雨宮さんにご紹介してきた曲で...。

いやあ、若かったからね...。

 

初めは14年かな、手紙で折りに触れて幾度も紹介してきたし。

 

ソロラジオ「雨宮天のRadio青天井」で雨宮さんがお好きな歌謡曲を紹介するコーナー「語れ!青の歌謡曲」がスタートして、リスナーからの紹介募集がアナウンスされた時、まず最初に送ったくらいだし。

よかったなあ、うじゃの。

(オススメ楽曲としてこの曲に限らず山口百恵さんの楽曲をコーナーに送り続けていたので、嬉しかったなあ)

 

イントロは妖しげなバイオリンの音の中、オレンジの光に包まれて。

ここの壁影がすごく良くて...。

 

怪しいメロディーが揺れる中、上手側の壁に光も揺れて。

「シャワーのあとの」歌い始めにパッとその光を裂いて、壁にシルエットが立ち現れるんですよ。

バスルームのシルエットみたいで、妖艶だったなあ...。

 

その後に続くAメロ、メロディーに沿って浮かんでは消えを繰り返すヴァイオリンを演奏するミ子さんの影が良かったなあ...。

 

そうだよ!!

(ピアノ)ヴァイオリン伴奏曲だったんだよ!!!

 

直前の特番で紹介されたり、「雨宮天作品集1-導火線-」リリース企画で雨宮さんが組んだプレイリストの中でもリストインしてたし期待はしていたけれど、「でも歌われるのかドキドキだなあ」って思ってたから、歌われるだけでもすごーーーーーーく嬉しかったんだけれど、まさか、ヴァイオリン伴奏ありだと思わんやん????

 

ヴァイオリンあり自体は少し前から告知されていたけれど、まさかこの曲とは思わんやん???

 

ヴァイオリンの音が良き演出となっていてね...。

原曲、Aメロの「彼が窓辺で話しかけるわ」の後に差し込まれるギター?の音が好きなんですけれど、そこのヴァイオリン生演奏の音が心地良かった...。

 

山口百恵さんの、上からの目線を感じるような、でも物憂いげに深みある低音の歌唱が大好きなんだけれど、雨宮さんのそれもすごく、ゾクゾクきて。

 

「ア・ア・ア」の歌唱が胸を掴んで離さなくて。

 

2月にラジオ放映された歌謡曲特番でこの曲を紹介した際に、この箇所の歌唱の難しさについて、

下手したらコミカルに、かわいくなってしまう」

「百恵さんだからこそ、かっこよく色気を持ってこの歌詞歌えるのかっこいい、しゅきぃ」

 

と興奮気味にお話をされていて、そうそう!と嬉しかったりしたのですが、雨宮さんの歌唱も色気とかっこよさを纏っていて、最高だった...。

 

そう、サビの振り付けも、何度も映像で見た百恵さんのソレで。

「ゴールド」「ごめんね」で開いていく指づかいも、綺麗でねぇ...。

 

リスペクト感じられて良き良きだったし、嬉しかったなあ。

 

語尾の処理の仕方やフォールとか、サビ終わり「縛られている」の「いる」の強調とか、好きなところ全部リスペクトが込められた歌唱をされていて、嬉しかったなあ。

 

 

東京夜の部、間奏で思わずニヤりと笑ってしまう雨宮さん。

なんだかそれが、とてもとても、嬉しかったなあ。


【インタリュード】

「イミテイション・ゴールド」の曲終わり、薄明かりの中を凛と下手へ履ける雨宮さん。

 

それを合図に、ピアノとヴァイオリンの音が紡ぎ始めたのは「火花」のメロディー。

 

Aメロは共にの演奏、Bメロはピアノののみ。

物悲しく、儚く、でもどこか優しいメロディー。

 

サビからは再びヴァイオリンの音が加わる。

物悲しさも儚さも増した、強度のある演奏。

 

壁に映る、ヴァイオリンを奏でるシルエットが、素敵...。

 

仄かな熱が残る中、次にお二人が演奏され始めたメロディー。

聞き慣れないメロディーだけれど、Jazzyで悪い感じがgood...

 

刹那、「ロンリーナイト・ディスコティック」のサビに雪崩れ込む。

この切り替わり最高...、かっくいい...。

 

メロディーに沿ってスポットライトが順々に切り替わっていく様子が、メロディと相まって綺麗で。

 

この「ロンリーナイト・ディスコティック」のピアノとヴァイオリンの音色好きすぎるので、音源を、音源をください...かしこみかしこみ...。

 

それにしてもすごいよなあ、あのメロディたち、雨宮さんが作ったんだよなあ。

 

サビが進むにつれて、次第に辺りは青色が立ち込め始めて。

そんな青に消えゆき、「もう見えないロマンティック。

 


7.難破船 / 中森明菜

青いエーテルに包まれた中、下手からゆっくり雨宮さんが入場。

「難破船」のオケが流れ始め、青は次第に霧の中に消えていき、立ち現れるのは青に染まらぬ黒いドレス。

 

恋人の喪失を悲痛なまでに歌った「難破船」。

 

直前のインターリュードから「難破船」に至るまでの流れが好きなんですよね。

 

恋人との淡く優しい時間が流れていくかのような「火花」の音色。

何かしらの事件性を感じさせる、悪意あるメロディー。

「ロンリーナイト・ディスコティック」の歌詞が連想させる喪失の音色。

 

「ロンリーナイト・ディスコティック」からこの曲のイントロまで立ち込めていた青は、「難破船」ということもあって海の青かな。

 

海の青。

小さな存在を包みこんでくれるような、優しく大きな愛。

 

歌唱までのオケの間、その海に白い霧が立ち込めていく姿は愛を見失っい遭難している難破船を痛々しいまでに想起させて、切なくて。

 

手をお腹の前で組み、ステージに佇む黒いドレス。

黒は何にも染まらない色。

もう二度とあの青に、あの愛に染まることのないということ。

 

「難破船」に至るまでの雰囲気作り、本気出しすぎだろ...

---

 

壊れ崩れ落ちそうなほど、弱々しい歌唱。

細く今にも途切れてしまいそうで、重苦しい歌声は「あなたを忘れるため」で印象的な姿を見せて。

 

「あなたを」は、その存在を思い出し、未練に今にもすがりたくなってしまった様子を想起させる感じを受けて。

でも直後に続く「忘れるため」は、それが叶わないと何度目かの実感をしたように、次第にかすれ弱々しくなっていく感じで。

 

「あなたを」は曲が始まって初めて、この歌声の主の目に光を感じるところで。

でも直後に続く「忘れる...た...め...」の「ため」のかすれが、もうその存在は自分の目の前には現れないのだという悲痛な現実を呈していて。

 

この「ため」のかすれ、好き...。

 

船頭をなくしたまま続くサビに流れ着いたところで、歌唱も人間味が戻ったように広がりある歌声に。

「あなた」を思い、感情が止め処なく大きく流れていく様子。

 

サビ、青い光を背負っての歌唱。

優しい青。

 

悲痛な眼差しなんだけれど、どこか優しい微笑みをたたえているかのような歌声でもあって、「あなた」がこの歌声の主と共に過ごした優しい思い出が影響を与えいてるのかなって。

 

サビ終わり、それでも行き着けない「難破船」が切なくてね...。

 

間奏、青く優しい空間の中をくるくる回るムービングライトが捜索で使われるサーチライトの様で。

照らすのは青く優しい春のような思い出たちばかり。

具体的で絶対的な誰かを見つけることは叶わず、灯りはたち消える。

 

2Aに入り息を呑むのも躊躇われるほど、辛く、切ない歌唱。

「別れたあの朝には」での「に..は...」のかすれが後悔の念を呈しているようで。

 

2Aの歌詞、すごく好きなんだよな...。

平穏な朝が刹那的に描写されていて、それがすごく今となっては悲痛で。

 

2サビも1サビ同様に、「あなた」を思い出し感情が止め処なく大きく流れていく様子。

流れた先の間奏のヴァイオリンの音が感傷的で沁みましたね...。

 

たかが恋人を なくしただけで

何もかもが消えたわ

 

「消えたわ」のかすれ...。

想い人に抱きしめられてほしいけれど、そこに在るのは思い出ばかりで。

 

「想い」、「思い」。

「想い」には「相手」がそこにいて、「思い」には相手がそこにいない。

 

相手の不在をまざまざとその存在の大きさを感じさせる歌唱と、優しく包みこむアウトロのヴァイオリンの音色。

 

ステージに佇むのは、青に染まらない黒いドレス姿。

 

遠くを凛と見やる姿が綺麗で、彫像にしてほしいくらい美しかったなあ。


8.シルエット・ロマンス / 大橋純子

そんなシルエットに身惚れていたら行き着いた先は「シルエット・ロマンス」

 

アコーディオンの音と同時に立ち現れるモノクロのシルエットがとても綺麗で。

 

背後に設置された四角いライトが、昭和車の四角いヘッドライトの様でロマンチック。

(最初2つに見えて「これや!!」って勢いよくペン先だけ動いてたけれど、ふと少し視線逸らしたら、横に3つ目あったよね)

 

しっとり低音が効いていて、芯を残しつつ哀愁溢れる歌唱。

余裕がある大人な感じだけれど、その中に切実さや奥の方にまっすぐさが感じられて、雨宮さんのこの曲の歌唱好きだったなあ。

 

 

「アイペンシル」「シルエット」

「アイペンスィル」、「スィルエット」、リスペクトだぁと嬉しくなっちゃった。

 

サビのビブラートがほんとうに綺麗で。

 

切実というよりは、深く伸びやかに芯のあるビブラート。

 

時に目を伏せながら、メロディーに乗ってゆらゆらと揺れる姿。

時に頬に手を当て、「無意識にイヤリング 気づいたらはずしてた」で耳元を飾るイヤリングにそっと手を触れたり。

 

その所作から歌詞やメロディーが本当に好きなんだなあと感じられて。 

ゆらゆら揺れると黒いドレスに飾られたスパンコールがキラキラ光って、綺麗だったなあ。

 

圧倒的なパワー持ってるけれど繊細なサビの歌声が魅了的で。

 

 

 

 

ラスサビ前、二回目の「シルエット」から一段と階段をあがり強度を増す歌声。

「あなた」への気持ちの強さを感じさせるようで、素敵だったなあ。


MC4

《雨宮》

はい、ありがとうございますー。大人な曲ブロックでしたー。ありがとうございます!ああ、楽しい、楽しい(笑) こんなに好きな曲を歌わせていただいて、みんなも曲ごとに表情を変えてくれたり、時に揺れたりしながら聴いてくれて嬉しいです。

(大阪昼の部)

 

重苦しい雰囲気にひょっこり顔を出す楽しそうなお顔が印象的で。

再び始まる怒涛のプレゼン。

 

「イミテイション・ゴールド」については、

 

《雨宮》

この曲は、もうね、青天井へのメールも多くって(笑) 好きな方...あ、ですよね(笑) 私はもともと山口百恵さんをあまり通ってこなかったんだけれど、「天ちゃんなら似合いますよ、とにかく歌ってください!」って言われることが多くなって、聴いてみたら「うわぁ!かっこいい!」って(笑) 

(大阪昼の部)

 

と、お話をされていましたね。

マネージャーさんからもオススメされたというお話もあり、山口百恵さんを、この曲を一緒にオススメしてくれた同志のみんなありがとう。

 

この曲の好きなポイントについては、「百恵さんの伏せ目がちな感じ」「気怠げな感じ」と挙げていらっしゃいましたね。

 

産み落とされる「気怠げ美人」というパワワード。

雨宮さんの「気怠げ美人」も、気怠い歌唱に伏せ目や流し目が抜群に合っていて、惚れ惚れでしたね...。

 

気怠げについては、「百恵さんは気怠げなのに眼力があって、気怠げなのに迫力があるというか。」(東京昼の部)というお話もされていて、うんうん嬉しげに頷いちゃった。

 

《雨宮》

サビの、わりかしたんたんと気怠げに歌われる中でサビの「イミ゛テイション」で力むんですよね。あと「すはぁだ」のところ?うわあー、かっこいい!!って(笑)

(東京夜の部)

 

赤べこみたいに頷いちゃって以後ずっと首が痛かった。

あの力み、すごく好き...。雨宮さんのもすごく素敵だった...。

 

手の振りについても、大阪夜の部で、

《雨宮》

映像見て「なにこれかっこいい、私もやりたい!!」って。わたし、前回も十戒の振りもやらせてもらったんですけれど、そうやって真似するのリサイタルでの私の楽しみになってますね。

 

とお話しされていましたね。

あの振りやってくれたの、嬉しかったなあ。

本当にこの曲好きでいてくれてる感じがあって、その同志感が。

 

東京昼の部では「2番が好き」ともお話しされていて。

いいですよね、2番...。

 

元彼と今彼の比較が並ぶ歌詞の中でも、今彼の「若さ」が描かれていて。

 

2番の「きき腕違う」って歌詞が好きで。

 

「きき腕が違う」って事は、今年の彼は反対側からアプローチしてくるわけで、ベッドで寝るのも反対側なのかな。

去年までは朝起きて元彼ないし窓が見えてたのが、今年は壁が見えるってことで、存在の対比にもなっていて。

長年なんで「きき腕」に比較が歌詞のこの位置なんだろうって思ってたけれど、最近気がついてハッとしたよね。

 

この曲をラジオで初めて知った中学生の時は、百恵さんの低音の歌唱に惹かれたんだけれど、歌詞を読んでみると、用いられているフレーズをヒントにひとりの女性の感情を描いた歌詞が読み解いていくのが面白くて。

 

長々と解釈を語り出すとあと3日かかってしまうから割愛するけれど、ただ単に元彼と今彼の比較の中に描かれた心情描写が面白くて。

 

まだ前の彼を忘れられてなくてついつい比べてしまうのよといくらか申し訳なさそうな感じがありつつ、でも、今彼の若い感じや真っ直ぐな愛に呆れつつ、「立ち直る為にはあなたが必要なの。利用するみたいで悪いんだけどさ、ちょっとしばらく寄りかからせてくれないかしら」と気怠げに大人の余裕を漂わせている感じもあって。

 

今彼の真っ直ぐな若さある愛に呆れる歌詞から、対比的に、たぶん、前彼との恋愛は不倫的な大人の恋愛、しんどい恋愛だったんじゃないかなとも歌詞から捉えていて。

 

未練さがあまりないからたぶん自分から前彼との関係を絶ったのかなと思うんだけれど、でもやっぱり心の中には愛された面影が残っていて、だから今彼からの不器用な愛に呆れつつ、でも「こんな恋愛も悪くないわね」と気怠げに笑っている感じがあって、しゅきぃ...。

 

「イミテイション・ゴールド」、あなたは今はまだイミテイションだけれど、時間をかけて本当のゴールドになってね、みたいな今彼への眼差しがあって、良いんですよね...。

 

こういう歌詞やライブを額面通りに受け取らず、読解的に楽しむ趣味に目覚めさせたのは、間違いなくこの曲だなあと思い出すのです。

 

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「難破船」については、衣装チェンジの話も交えつつ。

2着目に着たい衣装のイメージを尋ねられた際に、明菜さんが「難破船」の歌唱時によくデコルテを出した衣装を着ていることを思い出し、「えー、かっこいい、これやりたーい!」「難破船のときの明菜さんで!」とリクエストしたということを嬉しそうにお話しされていましたね。

 

セクシーで綺麗じゃった...。

 

大阪昼公演では、「明菜さんも映像によっては本当に涙流されながら歌唱されていたりとかしてもう、ほんとうにその曲の主演女優って感じですよね。家に帰ったら絶対見て。バイオリンあると哀愁強くなる感じありますよね。」ともお話しされていて。

 

他公演でも「女優感」についてこの曲のMCでお話しされていましたが、「女優感」か、言い得て妙だなあと。

映像のなかの歌唱されている「姿」にすごく惹き込む力を感じるんですよね、明菜さん。

涙流されている映像は公式じゃないからポリシー的に貼れないけれど、ぜひ。

 

普段の雨宮さんのライブも、結構その曲の主演感が感じられて好きなんだよなあとも。

 

 

《雨宮》

とにかく私が意識てして歌っていた「ささやき」ですね。悲しみの淵にいる女性、しばらく食欲のない感じで、歌唱も細いんだけれど、でも重みのあるボーカルなんですよね。あと、「あなたを忘れるため」の「たぁ…め…」、ね!ここまで言ってるんだから本家聞いてね!(笑)

(東京夜の部)

 

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「シルエット・ロマンス」については、歌唱終わりに「いい曲、はは、いい曲だなー」と思わず漏らしつつ、「7~80年代からずっと人の心を動かし続けてきた曲なわけで、カバーできて幸せです。」(東京昼の部)と嬉しそうにお話しされている姿が印象的でした。

 

大阪昼の部での、「この曲はもうほんとうに、大人の色気がある曲で、私には早いかなとも思ったんですけれど、この曲は絶対に布教して帰りたい!って(笑)」という熱しかないMCに思わず爆笑するちゃんへい2023さん。

楽しくて良き良き。

 

大阪昼の部では、

《雨宮》

歌詞が大人っぽくていいですよね。「イヤリング気づいたら外してた」っていうフレーズで大人な歌い方が似合っていて、ラストの転調もあがっていくのが好きです。ぜひ、ご本家を聴いてみてください。

 

とお話しされていましたね。

イヤリングに触れる所作やラストの転調あがりの歌唱に、その点へのリスペクトや愛が感じられたのでした。

 

東京夜の部では、

《雨宮》

「アイペンシル」って歌詞があるんですけれど、そこ「アイペンスィールの」、ね、すきぃ〜(笑)「シルエット」も「スィルエット」なんですよね。そこが大橋純子さんの歌い方とあいまって...

 

《ちゃんへい2023》

天ちゃんさ、シルエット・ロマンスの作曲された来生たかおさんのバージョンって聞いたことある?

 

《雨宮》

え、ないです!

 

《ちゃんへい2023》

だったら、ぜひ!男性が歌うと全然ちがうんだよね

 

《雨宮》

 

あー、たしかに、男性目線は違いありそうですね!聴いてみます!いいですね、布教し合う感じがあって(笑)

 

という一幕もありましたね。

来栖たかおさんver.聴いてみましたが、なるほど、これはまた違った味わいがあって良き...。

 

そうそう、この衣装で歌唱されるにあたり、東京夜の部では「この衣装で歌シルエット・ロマンス歌わせていただいたんですが、歌う前、私がこの曲歌うとちゃっちくなるんじゃないかってちょっと気にしていたんですよ。でも、衣装の力で私も大人の女性になれました。」とお話しされていましたね。

 

歌唱に合ったとっても魅力的なお姿だったなあ。

東京昼の部では「いつか似合うような佇まいの大人になりたいです。」ともお話しされていましたね。

 

いやいや、今でも魅力がすごいですわよと思いつつ、何年後のリサイタルでも、リバイバル的な形でまたその時の雨宮さんの味わいで聴いてみたいなあと。

 

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「インタリュード」での演奏については、「『火花』はまさにリサイタルで初披露した曲で。思い入れのあるメドレーになっていて嬉しかったですね。」(東京昼の部)「うれしいね。自分が作った曲が生で演奏されてごらん?びっくりしちゃうよ(笑)」(東京夜の部)と嬉しそうにお話しされていましたね。

 

改めてオケで聴くととても味わい深い綺麗なメロディーで、これ自作されたのかと感嘆したのでした。

 

《雨宮》

そうやって自分が作った曲が素晴らしい演奏で聞こえてきて、着替えながら「はあ、しゅきぃ…」ってなっていました(笑)

(大阪昼の部)


初紅葉 / 雨宮天(東京昼)

「それでは聴いてください、初紅葉。」

 

手をお腹の前で結び、イントロを聴くドレッシーな姿が紅白っぽくて素敵でしたね。

 

いやあ、聴き入っていたのでした。

すごく良かった...。

 

「鋏」の「ぃ」の処理が、好き...。

「みぃれん」、良き...。

間奏のヴァイオリンもアコーディオンの音も哀愁あって素敵...。

 

ラスサビ、最後の「燃えたままで 凍えるだけ」の「ままで」のこぶしが印象的で。

 

この「こぶし」については、「年上の人への初恋の未練を歌った曲なので、こぶしを効かせすぎると恨み節が強くなってしまって(笑)。バランスを意識しながら歌うようにしました。」(「声優グランプリ 2023年3月号」)とお話しされていましたね。

 

 

相手への恨み節というよりは、「思い出でもいいから」という切実な心模様に見えていて。

それにすがるしかない、というような深い悲哀を感じて、ここのこぶし好きなんですよね。

 

歌詞に「あなた」という言葉が出てこないのも、まるでそう口にしてしまえば遠く疎遠になってしまったことを受け入れてしまうかのような、そんな心持ちが透けている様で。

 

「こぶし」CD音源より少し強めだったの、このリサイタルならでは感、気持ちが乗っている感があって、良かったなあ。

 

アウトロ、手を結んでお辞儀をする雨宮さん。

解釈一致!!!!!!

 

「やっぱり演歌といったら着物ですからね!レコーディングの日も「紅葉柄の着物とか着て歌いたいですよね」みたいな妄想を語っていました(笑)」「声優グランプリ 2023年3月号」)

 

見たい見たぁい!

 

 

 


ぽつり、愛 / 雨宮天(東京夜)

イントロのピアノの音が切なくて。

ヴァイオリンの音も優しくて良きでしたね...。

 

Aメロのメロディーと歌唱が好きなんですよね。

つぶやき感が切なく胸に響いて。

まるで雨垂れに雨粒が落ちるように、ぽつりぽつりと言葉を落としていく、そんな歌唱。

 

まだ信じられなくて、認めたくなくて。

自分自身の感情をうまく整理できていないんだけれど、ぽつりぽつりと零れ落ちてしまう。

そんな叙情を感じられるのです。

 

そのAメロ歌詞もね、とても良いんですよ。

 

あなたの声が あなたの瞳が

私の心 照らした

悲しみに暮れ 涙流し

 

それでもまた歩ける

 

「また歩ける」というフレーズに大きな切なさを感じるのですよね。

 

「また歩ける」、また歩けてしまう。

あなたがいないのに。

 

あなたがいなくなっても、独りで、また歩いていかなければいけない。

そんな様子がこのフレーズから自分は感じられていて。

 

彼女にとって「あなた」がいなくなったのに変わらず流れ続ける時間こそが残酷で、明日からも彼女は目を覚まして、歩いて、時々の楽しさと、そしてしばらくは悲しさを胸にわたらしながら、変わってしまった日々を、変わらない日常を独り生きていくのだろうかなって。

 

背中は追えない、いつかの幸せ。

 

サビ「あなたの愛だと」のオケコーラスが切なくて好きだったなあ。

 

 

 

このサビの中で、豊かな表情を感じられる歌唱をされているのが印象的で。

 

前節のAメロからBメロにかけては、ぽつりぽつりと呟くように歌っていた声に感情を帯びていくように感じられていて。

ゆっくり、あたたかな思い出をなぞり、あふれていく感情のような調子。

 

その極地として、このサビのゆったりとしたまどろみがあるように受け取っていて。

だからこそ、サビ終わりの「ぽつり」とした寂寥感が際立っているように感じられます。

 

「瞳伏せるの」の感情が下に向いていくような、ほんとうにその情景を想起させるような表情づけの味加減が大好き。

 

「溢れる涙を拭うの」で頬をなでる表情。

間奏のヴァイオリンが沁みる...。

 

ただただ、たどたどと聴き入っていたのでした。


MC5

東京昼の部では、「初紅葉」について。

 

《ちゃんへい2023》

最高。

 

そうでしょうよ。

 

《雨宮》

みんなも赤くなってくれて感動しました、聞いてきてくれてるって。

いやー、演歌です(笑) 演歌をつくらせてもらったんですよね。EPを作るにあたって、5曲つくるにあたっていろいろな曲を聴いていたんですけれど、広く見て演歌も歌謡曲だよな?ってなって。「演歌って作ろうと思って作れる?」ってなって。没になってもいいから作るだけ作ってみようと思い、研究と勉強をして、あ、私、研究と勉強から入るんですけれど、それで作ってみてプロデューサーに聴いてもらったらEPに入れることになって。

たぶん、作詞作曲と歌と演歌を作った声優って私だけなんじゃないですかね?(笑) キャラソンはあるんですけれど、たぶん声優さんで私だけだと思うので、それは誇りに持っていきたいと思います(笑)

 

と。

いやー、演歌ですよ。そう、演歌なんですよ(困惑)

 

これまで度々、イベントやラジオ・インタビューで「天城越え」や「津軽海峡・冬景色」「夜桜お七」といった演歌を小中学生の頃からカラオケで歌唱し親しんできたことをお話をされていた雨宮さん。

 

実際に、14年に行われた「TRYangle harmony presentsトライアングルステージ ~STEP~ in日本青年館」では「津軽海峡・冬景色」を、2019年に行われた「第二回 音楽で彩るリサイタル」では「雨の慕情」を、時にコブシを効かせ力強く時に情緒的に熱唱されていて、高い歌唱力と共に楽曲への愛やリスペクトを強く感じられる時間が届けられたのでした。

 

さらにそこに、『声優』としての技を融合させ、キャラクターソングとして「津軽観光ごり推し記」(作:TVアニメ「パンチライン」 / 役 成木野みかたん)や「わたし音頭(作:TVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を! 2」 / 役:アクア)など、時に「演歌調のキャラソン」も歌いこなしていて、こちらからすればその「演歌ガチ感」は既知のところなのでした。

そんな雨宮さんが、遂に自らの力で作ってしまったという演歌曲。

「演歌曲も含まれる」という発表時から、心待ちにしていた楽曲だったのでした。

 

雨宮さんがこだわったらもうガチの凄いものが届けられるのは既にわかりきっていたことなんだけれど、試聴動画でイントロからガチの演歌が流れてきて、思わず笑っちゃったよね。

 

初紅葉という自然界にある様子を、『歳上の人への初恋の未練』に見立てて、「染めるだけ染めて青かったころ」「燃えたままで凍えるだけ」と自分では散れない悲哀に喩えるの見事で感服なんですよね…、とても好きな詞です。

 

秋には「飽き」という掛け言葉があり、古来から別れの歌も多く詠まれてきました。

「初紅葉」、秋という季節の歌だけれど、「飽き」という掛け言葉も意識した曲だったりするのかなって、ふと。

 

自分に飽き離れていったあなたを思い、散らしようのない慕情を詠んだ歌。

哀しくなるくらい、愛しく綺麗な歌。

(演歌で昭和チックな雰囲気をひしひしとかんじるけれど、映像でやってること、二人でハートマーク作ったり。どこか少しナウい平成感あってそのギャップも好き)

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東京夜公演で歌唱された「ぽつり、愛」

 

《雨宮》

こちらの曲はね、前回リサイタルで「レイニーブルー」や「for you…」をカバーさせていただいたんですが、つぶやくように、ささやくように歌っていたんですけれど、それを「いいね」って言われて、自作曲でも毎回毎回違うニュアンス乗せられるようにつぶやく曲を作ってみたら?って言われて作った曲なんですけれど。だから、この曲の仮タイトルも「つぶやき」でしたし、ラストの「つぶやいた」もそこから来ています。

 

とお話しされていましたね。

 

前述しましたけれど、その「つぶやき」感がAメロの雨垂調子な具合やサビの「震える瞳を伏せるの」「愛をつぶやいた」の寂寥に乗っていて素敵ですよね。

 

ぽつりの「、」が好きだなあ。

区切れてしまった様子を想起させて、彼女の想いがあなたの元へ続いていないことを案に示しているようですね。

 

相手の中にある自分の不在を認めはじめてしまうような、そんな歌詞が切なくて。

信じるって、それはそれで孤独だし、暗中模索だし、疑心暗鬼だし、つらいよなあ。

 

時々は会って同じ時間を過ごすんだろうけれど、それでも本当に同じ夜にいるのだろうかと寂しくなる感じ。

 

「初紅葉」とは異なり、歌詞に繰り返し登場する「あなた」

 

あなた、貴方。

「貴方」の語源は彼方で遠くの方を意味する言葉。

私から見た貴方は、遠くの方へ行ってしまったのかな。

少しずつ、これまでの日々の中で少しずつ遠のいていくのを感じていたのかな。

 

「こぼしかけてつぐんだ」/「知らずにいたのに 知りたくなかったのに」

2番の歌詞は相手を信じたいというよりは、相手を信じる自分を信じていたいというような、すがるような姿をそこに感じていて。

脆く、切ない、溢れ出しそうな感情がサビへと流れていくようで。

 

2サビに並ぶのは、それでも断ち切れない想い。

これだけ相手を想っているのに、「不在」を歌った歌唱がとても寂しく胸を締め付けるなと。

幸福よりあなたの優しさがほしい、みたいな切なさがあって。

 

2サビ終わりの「つぶやいた」のビブラートが深い悲しみ、ぽつりこごえている様子を表しているようで印象敵ですよね。

 

ラスサビ、やっぱり、報われなくて。

そこにあるのは、ぽつり、と何度も愛をつぶやく姿で。

 

繰り返しなんどもつぶやかれる、愛。

愛、愛しい。

 

古語の「愛しい」は「いとしい」と「かなしい」の二つの読みと意味を持ちます。

「愛(かな)しい」でもあり、「愛(いと)しい」でもある。

 

僕がこの楽曲で特に好きな点として、雨宮さんの歌唱の中には双方の「愛しい」が感じられるなと受け取っていて。

 

「かなしい」気持ちもあるんだけれど、同時にそこには相手を「いとおしく」想う気持ちも表面から感じられる。

 

「いとおしく」あなたへの気持ちや思い出を振り返りながら、そこに「かなしむ」姿が立ち現れていて。

 

これぞ「哀愁」というような、その味付けがとても美しい曲ではないでしょうか。


9.あなたに逢いたくて〜Missing You〜 / 松田聖子

「ここからはオケがなくなり、この3人だけでやらせていただきます。二度と同じものはできないと思います。それでは、聴いてください。」

 

溶暗したステージ、椅子に腰掛ける雨宮さん。

ピアノのみ光があたり、ぽつりぽつりと紡がれるプレリュード。

 

大阪昼の部。

イントロに入り2音目で「あなたに逢いたくて~Missing You~」だと分かり、「それがあったかああ…」とまったく同じタイミングで思わず天を仰ぎ噛み締めながらうなだれる4連の海外ミーム画像ください。

4連の右端だったから同じ行動とってる3人が視界に入って笑いが込み上げたよ。

 

原曲より雨宮さんの解釈やエッセンスが加わり、悲恋・未練の要素が重視されていた歌唱構成だったんじゃないかな。

 

1番は雨宮さんとピアノのみ。

 

「思い出たち“さよなら”告げた」のかすれた歌い方が遠いものへ語り掛けるように優しく、切なくて良かったなあ...。

 

この曲のヴァイオリンの音は「彼への想い」として解釈していて。

 

1番はピアノのみの伴奏でヴァイオリンの音は不在だったんだけれど、

 

あれから半年の時間(とき)が流れて

やっと笑えるのよ

毎日 忙しくしているわ

新しい人生を私なりに歩いてる...

 

という歌詞にあるように、新たしく流れている時間には彼の姿が傍にないからかなあって受け取っていたり。

 

今回の雨宮さん解釈の歌唱だと、ここは「強がり」になるのかな。

思い出さない様に、目を背けているような。

 

1サビ、ふと面影を思い出してしまったように。

ぽつりぽつりと、切ない歌唱。

「そっと瞳 閉じてみる」と流れ出すのはヴァイオリンの優しい音色。

 

思い出が何度目かのリフレインを始めた中での2Aの歌唱。

だんだんと声色が叶わぬ意思を持ちはじめたように強くなっていって。

 

そして「二人で未来 築きたかった」で最も強くなる歌声、想いを無視できなくなったように。

そのままサビに傾れ込んでいくの、すごく愛しくて切なくて毎公演大好きだった。

 

2Bの一段と想いが込められた「あなただけ...」、天を仰いでしまうほど強く胸をうったなあ。

 

2サビ、優しい青い光に包まれながら。

思い出の中の優しい青。

熱を増したような、感情を昂らせながらの歌声。

 

でも、ヴァイオリンの音色は優しくて。

それが切なくて、切なくて。

 

間奏はピアノとヴァイオリンの切ないメロディー。

どこまでも優しいメロディー。

そっと目を閉じ、聴き入る雨宮さん。

 

そのメロディーからゆっくりと覚め、幾許かの休符。

この無音が絶妙に心地良くて。

なんだろうな、こう、その人だけに許された沈黙って感じがして。

 

沈黙に静かにおとされていく「あなたに逢いたくて」という声。

絞り出すように、切なくて。

ピアノの音もぽつりぽつりと。

 

想いの大きさ、存在の大きさをまざまざと感じさせる歌声。

 

文字じゃ残しきれないほど、かすれや抑揚、言葉の切り方、雨宮さんの表情づけ全てが切なく心地良くて、綺麗だったなあ。

 

アウトロ、再び夜の帳がおりてキラキラとした光が綺麗で。

ヴァイオリンの音色が優しく響くだけ。

 


10.悲しい色やね / 上田正樹(大阪)

大阪限定曲として歌われだしたのは、上田正樹さんの「悲しい色やね」

 

ウィスパー具合が哀愁をグッと駆り立てて良き...。

この曲も雨宮さんの表情付けが切なくて美しい情景を想起させて、好きだったなあ。

 

1サビの感情の昂りのまま、スッと静かに2Aメロへ入って、「さよならをみんな ここに捨てに来るから」でまた想いが強く溢れるところ好きなんですけれど、雨宮さんの歌唱も良き...。

 

 

夢しかないよな 男やけれど

一度だってあんた 憎めなかった

 

ここの「やけれど」の余韻の残し方だったり、「憎めなかった」の域を抜いてやっと言葉にするような表情づけがめちゃくちゃ好きで。

 

もっと何度でも聴いていたい...。

 

ラスサビ、また一段と強くなる歌唱。

別れの時を実感し、感情が昂る感じがあって、ほんに悲しい景色を想起させる歌声やねと。


六本木心中 / アン・ルイス(東京)

「盛り上がっていきましょう、六本木心中!」と鳴り出した妖しいイントロ。

次第に拍をうちはじめ、呼応するかの様に順々に切り替わっていくスポットライト。

 

「ワン・ツー・スリー・フォー!」とハスキーに高らかなカウント。

 

イントロ、ニコニコしながら楽しそうにステップを踏む雨宮さん。

 

快哉を叫ぶかのような気持ちのいい歌声で、心も跳ねちゃいますね。

 

「こころなんて お天気で変わるのさ」の「変わるのさ」のフォールが好き...。

というか、この曲の雨宮さんのフォール、全部良き...。

 

Bメロ低く潜み走り抜ける様なメロディーのところでの、上手壁に映るヴァイオリンの影が良くて、ね。

メロディーに乗ってシルエットが浮かんでは消えて、また浮かんでの繰り返し。エモエモ。

 

サビの「DON'T YOU GO」ちゃんへい2023のコーラス、言い換えて「サビのちゃんへいコーラス(2023.ver)」も疾走感をより演出していてよかったですよね。

 

サビ、ほんと楽しそうで楽しそうで。

 

東京夜の部下手最前に座れたおかげで見つけることができたけれど、上手舞台袖に客席正面からは見えづらい様に置かれたスピーカーに映る雨宮さんの影が、めちゃくちゃ楽しそうで、ロックスターじゃんってくらいかっこよかった。

 

間奏、思わず一瞬ニコッとする雨宮さん。

 

東京夜の部、ラスサビの「あなたなしでは 生きてゆけぬ」に「uh~」というフェイクをつけて二段落としにしている歌声の気持ち良さそうなこと、ステージ上での楽しそうそうなこと。

 

その直後の「言葉じゃダメさ」の昂り、ゾワワっときて気持ち良かったなあ。

 

昂りに身を任せ、時に仰け反りながら歌唱される雨宮さん。

Foo〜、さいこ〜!!


11.君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。 / 中原めいこ

大阪公演昼の部。

《雨宮》

「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」!

 

のタイトルコールで、「キウイ」あたりから「出た出た(笑)」みたいに湧く笑い声と、思わず自身もその辺りから笑っちゃってる雨宮さん。

 

東京公演は「六本木心中」の跳ね上がりからのこの曲だったからもう踊り出したいくらい楽しかったなあ。

 

メロディーに合わせて拍手をおねだり。

 

嬉しそうに1番は下手での歌唱。

「ドライなシェリー」の恍惚的な入りも決まっていて、好き...。

 

陽気なアコーディオンの音に、揺ら揺らとトロピカルに楽しそうな歌声。

客席に手を伸ばしたり、指さしたり、楽しそう。

影も楽しそう。

 

ずっとニコニコやん。

 

両壁に映る木々のシルエット。

「君たち木に成るんか?」と一瞬気になるけれど、いやフルーツだもんなと謎の自問自答。

 

間奏、腰横あたりに腕を持ってきてルンルンと嬉しそうに、メロディーに乗って上手へ移動する雨宮さん。

 

絶対このペカペカとした音好きだよねと思うくらい、ニッコニコしてて、楽しそうで良き良き(´×`)

 

2A、ご自身の演奏パートを待っている間に首を振りながらメロディーを楽しんでいらっしゃるヴァイオリンのミ子さんも印象的で。

 

ちゃんへい2023も楽しそうにリズムを取りながら。

もうみんな楽しそうで、果実大恋愛だね。

 

ラスサビ中央に戻ってきて会場全体を煽る雨宮さん。

めっちゃ楽しそうじゃん。

 

いやあ、でも実際にめちゃくちゃむずかしいリズムと音階だと思うんですけれど、抜群に歌いこなしていて流石だぁ...と。

 

それにしても、この曲どんな恋愛なんだ?


MC6

大阪にまつわる曲を歌いたいということで大阪限定で歌唱された「悲しい色やね」については、大阪の女性を、歌詞の情景を思い浮かべながら歌唱されていたということをお話しされていましたね。

 

2月にリサイタルが告知されて、直後の青天井に向けてメールで「大阪限定曲候補になるかなあ」という温度感でこの曲についてご紹介メール出していたりしたのです。

雨宮さんのニュアンスたっぷりの歌唱を聴けて嬉しかったなあ。

 

---

 

「あなたに逢いたくて ~Missing You~」については、自身がこれまでリサイタルでカバーしてきた曲たちの中で最新曲だというお話をされていましたね。

 

1996年にリリースされた本曲、3歳ということで。

「そうか、俺何歳だっけ」と思いながら聴いてましたが俺も3歳でした。

 

東京夜の部では

《雨宮》

ありがとうございますー、わあ、ありがとうございますー!いやー、もうね、これが最後かと思うとねー。とてもみんなも雰囲気を作って頂いて。心を込めて歌いました。本当に、綺麗なメロディーですよね。サビは繰り返しの歌詞なんですけれど、何回聞いてもグッと掴まれるものがあって。私、松田聖子さんはバラードが好きなんですよね。聖子さんのバラードってハスキーで、ハスキーながらも独特のしゃくりもあって素敵なんですよね。原曲も、聖子さんのニュアンスはかわって、はっきりしっかり1個過去に区切りをつけたような強さがあるんですよね。その中でハスキーな感じの切なさとしゃくりが胸をうつんですよね。

 

と怒涛のマシンガンプレゼン。

本当にこのリッチな環境で、この環境や雰囲気ならではの、雨宮さんの解釈とニュアンスたっぷりの歌唱をもう味わえないんだなあと思うと、とても寂しさがある曲終わりなのでした。

 

聖子さんのバラード曲はこれまで「SWEET MEMORIES」もカバーされていますが、ほんとうに、雨宮さんの聖子さんリスペクトのハスキーな歌声とニュアンスが、とても、とても良きなんですよね...。

 

ひぃ。

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「六本木心中」については、東京夜の部で

 

《雨宮》

私は出せない声なんですよねー。かっこいい声で太くて。「櫻吹雪にハラハラすがり」のフォールが良かったり、絶妙な音程を漂うんですよ、それがかっこいいー!って。

 

というお話をされていましたね。

 

《ちゃんへい2023》

わかった。天ちゃんは歌謡曲だけじゃなく、ソウルな歌い方をする人が好きなんだね

 

と理解を示してくれたちゃんへいさんと嬉しそうに好きトークをする雨宮さん。

 

《雨宮》

好きだから私もやりたいってなるし、それが伝わっていたら嬉しいです。

 

 

(´×`)

 

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「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね」については、もう「Radio青天井」でリスナーから紹介されたときから絶賛的にベタ惚れしていらっしゃいましたよね(笑)

 

どの公演も、歌い終わり直後のMCで第一声として「これ楽しくてすごい好きー!」とニコニコお話しされていて、おじいちゃんもう目が線になるくらい60年ぶりくらいにニコニコしちゃった。

 

東京公演昼の部では、

《雨宮》

みんなの手拍子つきで楽しいこと、楽しいこと。でもこの曲すごい難しくて、そう実は難しいんですよ。だからすごく練習しました。中原めい子さんの歌唱力がすごくいいんですよね。素敵なリズム感と時折遅らせる感じが良きです。とーーーーっても楽しかった(笑)

 

とお話しされていましたね。

 

8歳の僕には楽しそうなメロディーの中のこの曲の難しさがあまりわからないけれど、抜群に歌いこなしていて、楽しそうで、とてもよかったですし、僕も楽しかったです!

 

《雨宮》

明るい曲で一気に南国気分に、キウイに、キウイにさせてくれる陽気な曲だと思いきや、「ドライなシェリー」、はあ…(恍惚)。嘘だよなって。今でもすぐ、その瞬間キウイになっちゃうくらい、歌い方好き。クールに入るの、好きぃ。

(東京夜の部)

 

この曲、雨宮くんを惑わせすぎやしないか?


挨拶

■大阪昼の部

《雨宮》

はやいねー。そうだなあ、こうやってリサイタルを2年に1回やらせてもらえてありがたいですし、うれしく思います。最初のときは次もあるとか何も決まっていなくて、でも4回重ねてくればたぶん5回もやるだろうと(笑) ね。こうして続けられるのも、みんなのおかげです。最悪誰もいない想像とかしていたって言いましたけれど、でも始まってみると、リサイタルならではの、私は絶妙な授業参観感のように感じているんですけれど(笑) あったかい空気と独特な雰囲気の中で、いっぱい歌ったりおしゃべりできて楽しかったですし、そんな空気をたくさん浴びれてうれしかったです。2年に1回やっていても、最初は緊張していたんですが、徐々に楽しくなってきて、本当に端から端まで楽しかったです。こうしていつも私の「これやりたい」「こうしたら楽しいんじゃないか」という気持ちをみんなが受け止めてくれたおかげで、COVERSやその次のリサイタルに続くんです。いつもありがとうございます。

EPも認められて出すことができましたし、第一弾は歌謡がテーマだったので、歌謡曲が好きって言ってきてよかったです。

その時その時の私を見守ってきてくれて、ありがとうございます。また2年後できると思うので、その時はよろしくお願いします!

 

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■大阪夜の部

《雨宮》

いやー、あっという間ですね。すぐ終わっちゃう、毎回言っているね。こうやってみなさんの前で歌をがっつり歌うのってベストライブ以来?になるのかな、久々だったから自分のソロでみんなの楽しむ声をまた聞くことができて、すごい嬉しくて。夜の部は夜の部っぽい雰囲気がありましたよね。いやー、みんなが求めてくれるから、こういう場ができるんですよ。私も好きな曲いっぱい歌えて楽しかったです。最後は私の曲でお別れです!

 

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■東京昼の部

《雨宮》

そんなわけで今日もね、来てくださりありがとうございました。大阪で二回やったんですけれど、でも序盤めちゃくちゃ緊張していたんですよ。こんなにいっぱいだと思っていなくて、最初緊張したんですけれど、途中からみなさんのクラップや赤色にね、照らされて、なんか保護者みたいだなって(笑) こう、優しく、「天ちゃん頑張ってるね」って言ってもらってるみたいで、楽しくて夢のような時間でした。嬉しそうに楽しそうに歌を聞いてくれて嬉しかったですし、布教できて満足です。ぜひこれからも活動を長く応援してもらえたら。ご本家を聴いて、ラジオとかにもね、天ちゃんにもやってほしいですってリクエスト送ってくださるとうれしいです。

 

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■東京夜の部

《雨宮》

今ねCOVERSもみんなの功績だって話したんですけれど、リサイタルもそうなんですよ。リサイタルだって17年にやらせてもらった最初は、天ちゃんがんばってるからご褒美で好きなことしていいよって事務所に言ってもらって始まったんですよね。それが今や、信じられないですよ、だって第一回あのみんなのポカーンとした感じがあって(笑) ねー。なのに二回目があったんですよ。それはみんながいっぱい声にして出してくれたおかげで、それからカバーアルバムも出させてくれることになって。COVERSも1(ワン)は結構レコーディング辛くてですね。1ということで、初めてだったからのもあって正解がないし、みんなのテンション感もわからなくて、どれだけ歌っても「ちがう、もっと本家は素敵なのに!」っていう気持ちがあって、こんなんじゃ布教にならないって。そう、実は布教アルバムだったんですよ、COVERSは。でも、「私キッカケで歌謡曲を好きになってくれたら嬉しいな」って1でやったものがみんなに伝わって、それをみんなが声にしてくれたから、IIは楽しくレコーディングできたんですよ。みんなのおかげですので、功績だと思って、いっぱい聞いてください。これからもリサイタルも、歌謡曲も好きという気持ちも応援してください。私はひたむきに愛を届けているけれど、みんなからも返ってくるおかげで、それが私の夢を叶える力になっています。いつもありがとうございます。


12.TRIGGER / 雨宮天

「最後は私の曲でお別れです!」と披露された「TRIGGER」。

 

こちらに背を向けてからのスタート。

 

イントロでブルーに映える雨宮天さん・ちゃんへー2023さん・ミ子さんのシルエットがダークヒーローっぽくて最高でしたね。

 

イントロの振りかっこよき〜からの、目元で横向きハンドサインで「1・2・3・4」のカウント。

ひぇ〜〜〜、かっこよ〜〜〜。

 

東京公演での、その部分、カウント後にチラッと漏れた笑顔が眩しくてニコニコしちゃったのでした。

 

イントロは哀愁を伴って静かに立ち上がり、退廃的な印象を受けるんだけれど、そこから堰を切ったように真逆の煌びやかな音楽が雪崩れ込んでくるのが刺激的で、悪酔いする感じに楽しくなっちゃう。

 

受け取った曲の印象は「退屈で疲弊的な日常からの解放」かな。

そこからさらに毒気を抜いていくと『疲れ切った自分へのご褒美フレンチ』になるの、落差凄いというか。

 

そこ題材にこの曲感や歌詞を作るの、天才的すぎんか?

 

少し作詞についていつものキータッチより数倍興奮気味にお話しするんだけれど、ええか?

 

(ええよー)

 

都合主義(いかさま)で作られた

期待泡立たせるアペリティフ

舌先の黒いジョーカー
「ここのスペシャリテは何?」

 

ゆらりゆらり揺れる

揺籠からティックタック

瞼閉じる瞬間(とき)まで

もっともっと 活きてみたいでしょ?

 

この2A~2Bの歌詞センスすごいなと思っていて。

 

元の情景的にはアペリティフを嗜むシーンだと思うんだけれど。

 

まず、「都合主義」を「いかさま」と読ませるの、最高に諧謔的で最高ですよね。ええ、もう、語彙も可笑しくなりますよ。

 

この歌詞に蛇足ながら助詞を施すと、

『都合主義(いかさま)で作られた期待を泡立たせるアペリティフ』

 

泡立たせる、泡沫(うたかた)。

 

この曲の冒頭に差し込まれたカウントは「1・2・3・4」だったけれど、1212年に著名な鴨長明が方丈記にこう記している。

 

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし

[訳] (川の)流れの滞っている所に浮かぶ水のあわは、一方では消え、同時に一方ではできて、そのまま(川の面に)長くとどまっている例はない。

 

方丈記的な読み方をする。

(この先、一生使うことのないフレーズ)

 

『都合主義』とは 言動や主張に一貫性がなく、その時々の当人の"御都合"に流されて行動する様のこと。

 

きっとこの人は、自分なりに芯をもって真面目に頑張っている人で、いろんな人たちの御都合"に振り回されて、毎日を消費しているんだろうなと思えてきて。

 

日々生きていると、誰かの都合の中で動いたり、誰かにとって都合の良い自分を求められ、その期待に応えることを求められることは多々ある。

そんな中でこの人は「誰かの自分への理想より自分の自分への理想を叶えたい」タイプの人でだろうなあと思っていて。

 

その姿は全然「悪」だとか社会に適さないとかではなくて。

 

「誰かの求める自分を演じ期待に応えること」と「自分の在りたい自分を高めていくこと」の、『自己実現』スタンスの違いなだけなんだろうなと思う。

 

でも、自分が思う自分ではない姿がその場限りでは正解であったりするし、正解でなくても近道だったりする。

 

まあ、生きづらいよなあ。

歌唱もどこかうんざりとした声色のように感じられて。

 

都合主義(いかさま)で作られた

期待泡立たせるアペリティフ

 

誰かの都合主義の中で作られた自分への期待はうたかた、まやかし。

アペリティフのグラスに浮かんでは消えていく炭酸の泡のように、長くとどまっている例はない。

 

「舌先の黒いジョーカー」

 

そんなアペリティフを、冷ややかな、意地の悪い微笑みを口元に浮かべながら口に含んでいる様子が感じられて。

「自分ではない誰かが求める自分」に対しての諧謔的なカウンター表現になっていて、この毒感たまらないなあと思うのです。

 

あとあと。

 

「すじがき」、「ハート」、「ラララ」という歌声。

「王道」、「本心」、「欲望」と漢字から伝わる表情があって面白い。

 

この曲の当て字みんな琴線なんだけれど、特に「ラララ」っていう、一般的には楽しげな歌唱を想起させるフレーズが「欲望」の表情しているのは世界観をより引き締めている気がするのです。

 

でも、欲望のような姿かたちをしているものが、実は、さみしさのかたまりだったみたいな解釈なんだよな。

さみしさゆえの狂宴。

 

 

なーーーんてことを考える暇なんて与えないほどの狂騒、楽しい!!

 

Bメロからサビまでの怒涛の流れが、ライブ歌唱だとより濁流的に感じられて楽しいですね。

亜空間を大きな滑り台でタイムワープしているかのような楽しさ。

 

Bメロの「もっともっと 掻き乱してよ」の色気ある手の振り好き...。

 

「不能の脳 醒めて」の声色と振りの色気よ...。

 

間奏のヴァイオリンも妖しげな音色で楽しくて。

ヴァイオリンあるともっと感じる部分が広がって楽しいね。

 

ラスサビ、曲終盤。

冒頭で、受け取った曲全体の印象を「退屈で疲弊的な日常からの解放」と書いたけれど、別の言葉で言うなら「そういう人を『こちら側の世界』へ拐かし墜とす悪役」的な曲のように捉えているんだけれど。

 

ラスサビ、その最終フェーズ、堕ちきっていく処。

 

王道(すじがき)にトリガー引いて

終わらない刺激的ショータイム

本心(ハート)に耳を当てれば

赤裸々な欲望(ラララ)

刹那を貪る狂宴

 

本楽曲の最後の歌詞部分であるこの節と、この歌詞の後のアウトロに乗って「トゥダッダララ、ルールラララァー♪」と歌唱しているあのフェイク部分。

この繋がりに物語性を感じられて。

 

王道(すじがき)にトリガー引いた先にある、終わらない刺激的なショータイム。

本心(ハート)に耳を当てれば聞こえてくるのは、理性的な言葉ではなく、赤裸々な欲望(ラララ)。

 

その「ラララ」というメロディに、理性を捨て、身も心も委ね口遊みはじめたのが、あのアウトロの「トゥダッダララ、ルールラララァー♪」だなあと捉えていて。

 

アウトロの最後のフェイク部分は、もう日常からの解放どころか、狂宴へ堕ちに堕ちていく様子が歌唱から感じられて、「こっちの水は甘いぞ」的に愉しげな誘惑で。

愉しげな誘惑にこちらも思わず身を委ねとうなるよね。

 

一見それは破滅的だけれど、でもきっと、そうやって割り切ることも時には大切なんじゃないかなとこの曲は伝えてくれている様な気がしていて。

 

自ら退屈で侘しさを感じる所から離れて自分が思うままに生きていく、自分の心の愉悦を大切にして生きていくのも、なかなか取るのが難しい選択だけれど、魅力的なのかもしれない。

 

時にそういうのを味わうのも人生の豊かさってやつ?って笑えるのも、かっこいい大人なんじゃないかな。

 

なんてことを、インタビューで雨宮さんが次のようにお話しされていたなと思い出しながら、アウトロの狂騒に身を委ねていたのでした。

 

常識なんかにとらわれずに、「もっと生きようよ、あんたの人生をさ!」というメッセージにしたかったんですよ。それって私の考え方とも重なるし、今の世の中は遠慮がちな人が多いと感じていて。もちろん調和を重んじるのはいいことではあるけれど、遠慮しすぎて自分の個性を殺してしまっている人もいると思うので、そういう人へ発破をかけるような曲になったらいいなという願いもちょっとあります。

(雨宮天が全収録曲を自ら作詞作曲!歌謡曲への愛と情熱に満ちた「雨宮天作品集1 -導火線-」完成)

 

アウトロ終わり、くるっとこちらに背を向ける雨宮さん。

 

その背中はなんだかこちらに背中で大切なことを伝えてくれている軍団長のようにも見えて、「軍門にくだっちまったなあ」なんて苦笑がちに思いながら、かっこいい背中を眺めていたのでした。


雑感

ひゃー、やっぱり、リサイタルは楽しいね。

 

見つけやすいうちに先に言っておきます。

 

火花からロンリーナイト・ディスコティックのオケめちゃくちゃ心地良い音色だったし音源が欲しいです。

 

ミ子さんを天ちゃんバンドにお迎えして、「Velvet Rays」のストリングスありをライブで味わいたいです

 

僕より。

 

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今回のリサイタルも凄かったですね。


男性ボーカル曲も増えたら演歌も加わったり、今回はこれまで以上に曲の幅が広くなったリサイタルだったように思えます。


その幅広い曲を、おひとりでカバーされていたわけで。


冒頭で、


ご本家の好きなポイントを「好きな曲をカバーするのに妥協したくない!」という姿勢で高いリスペクトで歌唱してくださるので、布教される側としても、どの声色や歌唱技法が魅力的なのかが分かりやすいのですよね。


と書きましたが、本当に、一曲一曲で全く異なる声色や歌唱技法の曲たちを、曲ごとに巧みにリスペクトとしてトレースしていて。


総勢十数名が歌う歌謡曲イベントだったのではないかと思っちゃうんだけれど、ぜんぶおひとりの歌声だったわけですよ。


すげぇんっすよ、おそらさんは。


へへっ。


そうだなあ、やっぱり、にこにこと自分が好きなものを語ってくれる姿が、何より嬉しそうで楽しそうで、幸せそうで。

 

嬉しくて楽しくて幸せなんだよな。

 

んー。

抽象的なことしか言わん気がするぞ...(笑)

 

そうだなあ。

本当に、このイベントに来るたびに「好き」は強いなあと教えてもらうのです。

そして、何より「好き」は楽しいなあって。

 

好きなことをやっている人の姿を見ると、「その人の人生はその人のもの」という事実が確かに実感できて、それが突然とても喜ばしく、美しい事実として自分の中で花開いていくのを感じられるんですよね。

 

「好き」は誰か他の人達のためにあるのではなく、その人のためにある感情なんだよな。

 

好きな曲、好きな漫画、好きなアニメ、好きな映画、好きな小説、好きな時間や空間、好きな人たち。

 

だから僕もしっかり誠実に、仲良く自分の「好き」と向き合い笑い合い続けていきたいな。

 

終わりの挨拶で「COVERS」に最初は苦戦したことや、「みんなが返してくれるから私の夢を叶える力になっている」というような趣旨のお話をしてくれたけれど。

 

んー。

そう想ってくれるのは、とても、とても嬉しいことだなって。

 

そう思いつつ。

結局、僕らはこうしか関わり合えないから。

でも、こういう関わりができるのが何より幸せだなとも思っていて。

 

つくること、積み上げること、掘ること、磨くこと、

自分の考えを表現すること、思いを乗せていくこと。

何かをつくることは、ほんとうに時間もかかるし、

時に先が見えないくらい、大変なことで。

 

でも、先の見えない日があるとしても、そこでさらに一歩を進めるために必要な希望が、その人の中にあり続けてほしいって思う。

それを自分の応援が後押しできるとかは全く思わないんだけど、もはや祈りとしてあるんだ。

 

一つのことをずっと追究するのは、どんな道でもやっぱりしんどくて、自分にしかできないもの・作れないものを作ろうとするとき、「自分」のお手本なんてないから、自分が自分の決めた方角を信じるしかなくて、その「信じる」っていう勇気が、できる限りどんな日も陰ることがないといいなって思うのです。

 

「もっと頑張れ」ではなく、「頑張っているね」と伝えられる人になりたいな。

そんな気持ちを、「好き」という気持ちの乗せて返していきたいな。

 

ひたむきに愛を届けてくれてありがとう。

 

んー、昨夜の俺は何を言ってるんだ...?

 

今回のリサイタルも、雨宮さんの日常を彩る素敵な音楽たちが伺えて、嬉しかったなあ。

 

COVERSIIも、この間のリリイベでお話ししてくれたこれからの展望も、全部ぜんぶ楽しみだ(´×`)

 

《雨宮》

いやー、もう最高の一人カラオケでした!

 

《雨宮》

またいっぱい楽しい時間を作っていきましょー!

 

終幕にあたり、客席ひとりひとりに手を振りながらの嬉しそうな語り。

これからもたくさん、楽しい時間を作っていきたいね(´×`)

 

願わくば。

願わくば、これからの旅路も、たくさんの素敵なメロディーに囲まれて充実した日々を過ごされます様に。

 

二年後、またちょっと違う僕らで出会えたら、幸せだな。



雨宮天 1st EPシングル

「 雨宮天作品集1-導火線-」

3月22日発売

雨宮天 2ndカバーアルバム

「COVERS II -Sora Amamiya favorite songs-」

2023年6月21日発売

雨宮天 1stカバーアルバム

「COVERS -Sora Amamiya favorite songs-」

発売中



雨宮天最新フォトブック

6月12日発売