雨宮天さんの2ndアルバム『The Only BLUE』の新譜について、今見えてるコトについて。
GLORIA
聴きながら歩いているととても心地が良くて、ということは僕が本当に歩きたい歩幅にちょうど合う曲なんだと思うのです。
感じたことを言葉にアウトプットしてみると、このアルバムって視覚的には黒だなと思えてきて。こんなことを言うと怒られるのかもしれないけれど。でも、うまく言葉がまだ掬えないでいるのだけれど、光景的には『BLUE』だなと思えるのです。とりわけ『GLORIA』はそのように感じられて。
「この世界から歌おう/この世界から叫ぼう」
「世界」ってどこなのかなあって。
「宇宙」かなあっておもいまして。
「光が暗闇を覆うとそこに青が現れる」とルドルフ・シュタイナーが残しています。
暗黒である宇宙の闇を明るい大気を通してみた時に現れるのが青だということなんですけれど、ふとその言葉を思い出しました。
宇宙空間の暗闇から地球の青を見ているのかなあって、最初に頭に浮かんだのはそういう景色なんですよね。ライブではどうなるか知らないけれど。
なんだろうな、この曲は心の一等地で聴きたいなあっていう曲ではなくて、底に行き着いた時にそこで流れていてほしいなって思ったんですよね。
底の暗闇に差し込む光、涙が光に変わって暗闇がその光に覆われたときに、その光さへ消えて、青/密度の濃い意志が立ち現れるのかなあって。
「この願いは叶わないんだ そう思ってた 消えるGLORIA」
「消えるGLORIA」ってどんな描写なんだろうってとぼとぼと考えていたんですけれど、直後の「物語は自分にしか描けないよ」っていう意志に繋がるように解釈すると、そんな風に考えたのでした。
ライブでどうなるのかしら。
Lilas
これから書く事は嘘ですが、僕にとっては正しいのです。
「Live your life」って主語はどっちなのかなあって、Iなのか、Youなのかって考えていて。
でも今歌詞カード見てて思ったのはこれ命令形(日本語だと「命令形」ってなっちゃうけれど、ここでは曲のタイトルも踏まえてフレンドリーのニュアンス「~して/「しよ」が適訳だと思うんですけれどね)なので、主語は多分Youなんですよ。
まあ、無視しましょう。ここからさらに気持ち悪くなっていくんですけれど。
僕ここを Iであって、Youでもあるなって思ったんですよね。
ここでは自分は聴き手なので、Iが他者でyouが自分になるんですけれど
(I) live your life
そういう友情を感じるような相手の虚像が自分の中に住んでいて、それは虚像でしかないので決して押し付けることもせず、
(You) live your life
僕も当然my(your) lifeに住んでいないといけないし、どうせならいいカッコウで住んでいたいし、自分もその虚像も住み良い環境にしたいじゃない?
友情ってこういうことなのかしらって。
なんだろうな、イマイチ僕は自分にとってのあの人の存在の感覚を言語化できずにいるのだけれど、なんだかそういうのもいいなって思ったのでした。
そんなこと考えながらぽけーっと聴いてたらこの曲ラストが感情のほとばしり、詠嘆になるでしょう、もう詠嘆になった途端感情が陥落してねえ。これライブだったらどうなっちゃうのかしら。
そんなmy lifeにみせかけたmy lieな話でした。
いつまでもそんなlieな話にlieしてないで、いい加減bye-byeして次のお話をテーブルの上にlayしましょう。
Breaking the dark
全然今のところ感覚を言語化できなくて、無い頭をひねってみたんですけれど結局何も出てこず、ノリノリになって楽しんでるんですよね。
楽しい!以上!
ライブは多分もっと楽しい!
歌詞の、この曲の主人公の思考って全然自分にない感覚だから多分そうなんだろうなあと思いつつ、そういうメンタル的に「そろそろいいかな」って上がって行きたい時に聴くと効果は絶大なのだろうな。
見えている感覚も多少はあるけれどそこは闇の中にまだ投げ込んでおくとしましょ。
エデンの旅人
手を伸ばせること、それが、というかその時点で微かでも希望なんだなあって。
んー、まだこの曲が必要な感情のタイミングとかテンションになってないからか掴みかねてる感覚なのだけれど。
確かな理想の不確か性、あの人にとっては明確なものがあったりするかもしれないけれど、僕にとっては「理想」ってすごい不確かなもので。それはモノノ怪になれてないからかもしれないのだけれど。
でも、そんな理想が不確かな僕にでも何か貫かれるような曲、かしら。
夜の砂漠って宇宙みたいだなって思えて、先程使ったシュタイナーの言葉で考えるとなんだろうな、逆に暗闇/黒(≒不確か/いつか)を見ることはその先にある青を見ている、みたいな。
青を見るから暗闇って現れるんだろうし、黒を見ることで青が現れるのだろうなあ。
不確か。
Shu!Bi!Du!Ba!
『「東京」という具体的な都市名が出てきたり、グッと現実世界に引き戻された感じがあります。それでいて、現実世界で見る夢の世界みたいなところもあって。』
と、インタビューでもお話されていたところなのだけれど、そこが僕にとってこの曲の入り口になっているっぽくて。入ったら思いのほか水攻めにあって出られなくなってしまったなう。
「東京」ってなんだ・・・、とここ数日東京にいながら考えていて。
ふと、詩人の最果タヒさんのツイートにこんなものがありましてん。
ヒントになりそうで、答えのようで、わからない。
大森靖子さん、ニューアルバム「クソカワPARTY」発売おめでとうございます。公式サイトにて、収録曲「東京と今日」にあてたコメントを書かせていただきました🏙https://t.co/3f0lrGgFFH pic.twitter.com/pddl9VnYza
— 最果タヒ(Tahi Saihate) (@tt_ss) 2018年7月11日
「失くすもの もうないから」
「孤独の道中」
タイトルとか曲調から感じる印象とはまた別に何かダークな感じを受けて。
それって、東京で生まれ育った人が感じられない、僕らが抱いていたあの「東京」への気持ち/「東京」にきて抱いた気持ちに似た何かなのかなあと。
華やかな世界の下ではみ出さないように必死で並んでるあの感じ、我こそ先にとすしづめ状態なあの感じ、応募者多数で抽選開始みたいなあの感じ。
ああ、書いてて思ったのだけれどこの曲は東京から「東京」への現実逃避みたいにも感じられるなあ。
その人を僕は、うーん、『irodori』の主人公を見てる感覚が近いのかなあ。
「Spotlightを探してる」
この曲って、この歌詞をどうとるかで大きく変わる気がして。ラスサビがそのステージなのか、僕は曲終わりまでずっと探している方に歌詞からは感じたしご本人がそうじゃないと言われても多分僕はそこをそう解釈して自分の生活に溶け込ませて「がんばらなきゃな」って血肉にしていくのだろうけど。
Spotlight、見つかったのかな。
でも、見つかってるといいな。
多分それはライブでわかる気がしてたり。
しきりに好きな曲としてご本人の口から挙げられる『東京ブギウギ』だけれど、なんだかそれと似ている雰囲気というかバックグラウンドがあるのかなって。
『東京ブギウギ』はリリース的に坂口安吾の『堕落論』とか近かったり、選抜高校野球がはじまったり、箱根駅伝復活したり、なんだろう、そこから想起するこのあたりの大衆文化、実際に1947年から1948年って戦後史における大衆文化としてすごく重要で面白い時代だったりするのです。
なんの話だっけ、そんな大衆が疲弊していた時代に『東京ブギウギ』が大衆文化として広く浸透していく大衆心理的な過程とこの『Shu!Bi!Du!Ba!』に描かれている情景が相似しているのかなって。
そう、多分僕は疲弊しているときにこの曲を聴きたくなるのだろうな。
戦後大衆史は学生時代よく調べてたところだから、調べてみても楽しいかなあって、そこんと見ると楽しいのかなあって思うので暇があれば国会図書館でも行こうかな。暇ないな。
そういう感じで考えてみると雰囲気がつかめるかなあって思ってるのでライブで聞くと見えてくるのだろうなあ。ちょっとこの視点は持っていたいなって思って書いたのでした。
Trust Your Mind
最初タイトルを見たときに少し驚いたんですよね、この曲。「your」なんだ、って。
これまでのアーティスト活動のイメージだと、『Trust My Mind』ってイメージだったんで。
特に深い意はないかもだけれど、「my」じゃなくて「your」だからこそ、歌詞がより攻撃的にyouたる自分にぶつかってくるよなあって。
うーん。
午前四時のブルー、明け方のBlue hourなのかなあ。青(= )に満ち充ちた凄く綺麗で、攻撃的な光景。
「自分で描いた 未来図に/キャンバスに」
って歌詞が好きなのですよね。
以前『BRUTUS』の西田善太さんがこの様な事を仰っていました。
「コピーライターをしていた頃から、青い字で企画を立てると、考えが広がっていく気がします。黒で書くとそれは〝書類〟になるけれど、青いペンで書くと言葉がまだ固まっていない感じがする。青い字で書く時の未解決感、これから広がっていく感じが好きなんです。」
自分で描いた 未来図/キャンバス(=青写真)
『青色』という色が、未だ様々な分野において未解決であってそこに夢が立ち現れるように、未来はいつも『青写真』から始まるのですよね。
そんなことを考えつつ、ライブの青写真を描いているこのごろなのでした。
そんな感じ。
ライブの感想と一緒に書くとどうしても僕は文章が長くなってしまうので、先にいろいろ考えてみたのでした。
あまり時間的に余裕を作れなくてじっくり考えられなかったけれど、「これから」はまだまだじっくりあると思うので。
これがライブで、あの空間、あの人を媒介とした空間でどういう風に濾過されるのか今からとても楽しみだなあ。
素敵なアルバムをありがとうございました。
雨宮天「The Only BLUE」インタビュー|攻撃的に振り切ったアルバムに広がる“Only”な世界観 [Power Push公開中] https://t.co/UyHzzfQFCY pic.twitter.com/MJaKtuTKqi
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2018年7月9日
コメントをお書きください