こちらは2017年7月9日に横浜アリーナ、7月29日・30日に神戸ワールド記念ホールにて行われましたTrySail Live 2017 Harbor × Arenaの感想文になります。
門をくぐるとそこは眩しい太陽を浴びて賑わいをみせる陽気な港町。
特設のスクリーンには映し出されるのは『Youthful Dreamer』や『コバルト』、『whiz』といったこれまでの旅路を収めたMusic Video。
それを通して自分に起きた色々な出来事を振り返っていると、陽気なラジオDJが三人を乗せた船が間も無く到着すると知らせるのです。
「ドキドキしますね、ワクワクしますね、最高の時間になることを確信しております」、と。
気づけば、すっかり夜。長い事考えていたらしい。
あっという間に、船上パーティー開始へのカウントダウンが始まりました。
あー、凄い、人がいっぱいだ。嬉しい。
空きが見当たらない程埋まった客席の声は数字が小さくなる程密度を増していくのです。
そして、到着した三人を紹介するDJの声が響き階段上に姿が現れると、宴が始まったのです。
1.whiz
不意に風が立つ様に流れ出すイントロ。多分この曲を1曲めに予想していた人は私を含めてほとんどいなかったんじゃなかろうか。
その浜風が拾い巻き上げる感情は「これから」ではなく「これまで」。
“繋がってた 道大切に”
その歌詞を聴いた瞬間、これまでの航海の「終わり」とこれからの航海の「始まり」が円環をなしてぐるりと繋がる感覚。
これまでがそうであった様に、彼女達はこれからを確かな証拠を残しながら、彼女達らしく進んで行くのでしょう。
2.オリジナル。
不意に巻き上げられた風に足元を着地させると、響いたのはこの曲のイントロ。途端に波立つ海上。
そんな海上を中央ステージへとゆっくり手を振りながら漕ぎ出すお三方。微笑ましさ。
神戸初日は中央ステージに近い席だったのですが、ステージ床面に映る影がすごく綺麗で、その影も含めて見とれていたなぁ。
表情がころころ変わるとかではなくて、指さしあって笑ってみた後にキリッとした顔になっていたり、純粋に凄いなーって。
“いつか君も語ってくれたね
私だけがもつオリジナル
ふるえてたあの日あの言葉に
背中を押されたんだ”
その歌詞に、彼女達の語りによって出逢えた自分だけのオリジナルの存在を、中央ステージで客席へ語りかける様に歌う姿に思ったのです。
3.かかわり
『オリジナル。』 の曲終わり、柔和な表情がパキっと覚悟を秘めた表情になったのが印象に残っています。
神戸初日で目にした、夏川椎菜さんの「笑おう」での目の演技?使い方?が全身を貫いたことを憶えています。
一回閉じて、そこから見つめ直すみたい、な。
あとで覚えていたら触れるけれど、夏川椎菜さんの目の使い方、すごく琴線なんですよ。
中央ステージから花道を観客の声を煽り纏いながら一人ずつメインステージへ進んで行く。その途中、花道の終わりで三人が対角線上に並び歌唱する、これまでのステージでは見たことがない、アリーナならではの見せ方がありました。
パンフレットの雨宮天さんのコメント。
「ここを乗り越えられたら、また大きく成長できる気もするし、でも乗り越えるのは簡単なことじゃないというのはすごく感じているので、ステージの作り方とか見せ方とかも一から考えていきながらライブに臨みたいなと思います。」
公演前に読んだその一言が思い浮かぶ一瞬でした。
4.Sail Out / 5.primary
メインステージに船が接岸される。
夏川椎菜さんの「みなさんのところに行きますよー!」の声が響き、各々を乗せた船は乱反射する海へ漕ぎ出す。
『Sail Out』ではセンターとアリーナの間を反時計回りに移動し、大サビは、最後方でパフォーマンス。
後方から注がれるスポットライトを、光を追いかける様に船は進んでいったのだけれど、「だけど ひとりじゃない」って歌詞を最後方で歌うお三方に青、黄、桃色のスポットライトが照らされていて、辿り着いた先の虹みたいだなって。
『primary』では上手側を通ってメインステージへ。「ナイトクルーズ」のフラダンス宮さんが好き。
初めの5曲で、海上をぐるりと廻ったお三方。
ここでもパンフレットの言葉を思い出しました。
○麻倉ももさん
「今までと同じじゃいちばん後ろのお客さんまで巻き込めないと思うんですけど、客席の端から端まで、みんなが同じ気持ちで、「楽しかったなあ」って帰ってもらえるようなライブにできたらいいなと思います。私も全力で楽しんで、盛り上げたいと思います!」
○雨宮天さん
「会場がどうであれトライをし成長する、そして皆さんに楽しい時間を過ごしていただくという目標は変わりません。(中略)なんて言いつつ私も楽しむ気満々ですし、楽しい空間を一緒に作ってくださったらなと思います!」
そのコメントからは『楽しませよう』、『自分たちも楽しもう』という想いが伝わってきます。
“絶対に 後悔はしたくはない”
そのフレーズが、その笑顔をより輝かせていました。
MC①
フワリ、コロリ、カラン、コロン /夏川椎菜
メインステージでタイアップアニメ『プリプリちぃちゃん!!』ED映像の夕花ちゃんそのままに踊る夏川椎菜さんに、僕のノートは「かー」祭りでございました。鬼かわいかった。
うまく形容できないけれど、フワリ、コロリ、カラン、コロンって感じ。
打ち込み系の曲調と夏川椎菜さんの歌声は本当に心地良く調和するなって。
フルを手に入れて早く散歩に行きたい…(・×`)
グレープフルーツムーン / 夏川椎菜
宴の喧騒が完全に夜の帳の向こうへ静まった頃、スクリーン上には月が浮かび上がる。
そして、階段上で月を眺めながら歌詞を詠む夏川椎菜さん。月と立ち位置を上手く使った演出だなと思ったのは横浜公演。
歌うよりは、詠むだと思いました。詠むは「ながむ」とも読めます。
「眺む」は遠くを見る事であり、時にその奥に隠れたモノを感じる行為として古くから和歌の中で詠まれてきました。
その詠まれた歌詞に隠れた思いを、近くにいて遠く月を眺める彼女の姿に感じたのです。
神戸公演では中央ステージで月明かりを浴びての歌唱。
切なくどちらかと言えば肌触りは心地よい冷たさのある曲かなという印象だったのですが、月明かりを浴びての歌唱には確かに心地よい温度を感じました。
月明かりを浴びて床面に映る影ね……よかった…
irodori / 雨宮天
一方、同じ頃夜闇のステージに立つ影。
この公演でこの曲の予約者に渡された直筆コメント入りカードにはこの様に記されていました。
「今の自分、未来の自分・・・色んなことを考え、思いを込めて作りました。」
それを踏まえ、次の歌詞を聞いて胸がざわついた事を覚えています。
“凍り付いた湖の底から 悲しげにこっちを見ている “あなた”は誰”
”あなた”は誰?のなんとも形容し難い、ダイナミックな伸び方にはただただ詠嘆の声すら昇華できませんでした。
横浜公演はまだ発売前、それもフル尺は初めてでしたからただただこの曲の主人公の世界に魅了されていましたね。
雑誌にこう寄せていらっしゃいましたね。
「歌手になりたいという夢を追いかけてきた人が現実に直面し、悲しみを抱えながらも力強く歌い続ける、そんなイメージのMVです。」
「赤い衣装の子は“ここは自分のステージではない”と思いながらも気丈に振舞っていて、白い衣装の子はその子の内面なので、どこか弱々しくおびえています。」
記事中には他にも「斜に構えた印象があった」などこの曲の主人公の印象を語っていられました。
実際、歌唱する際は少し顎をあげて斜に構えた様に定まらない視線をあちこちに向けていました。
雨宮天さんが青に込めてきたという『意志』。これまでの曲はその意志が、真っ直ぐ見据えられた視線として表れていたように思いだされるけれど、この『irodori』はその点、新たなトライだなと。「私のステージはここじゃない」、みたいな。
歌唱中のステージライト演出も印象に残っています。赤い子が歌っているような歌詞は会場が赤色に染まり、白い子の内面が描写された様な歌詞は弱々しくも揺ぎのない青色が輝きを放っていました。
サビの部分も、参加された方にしか伝わらないと思うのですがステージ横の△が連なり菱形を形成しているライトはずーっと赤ではなく交互に赤と青が。
“凍り付いた湖の底から 悲しげにこっちを見ている
では赤と青が交互に、そして
“あなた”は誰”
は、この歌詞はどっちだろうと思っていたら、どちらでもなかったのです(ライトオフ)
うまく言葉に落とし込めないけれど、確かに自分の中に「なるほどなー」という解釈はあって。
それはまあ、リリイベやらでまたご本人が新たな解釈をくれると思うので内に留めておきます。ライト演出、良かったなぁ。
歌手としてある意味夢を叶え歌手という職業にあり気丈に歌いながらも、時折、どうしても見え隠れする内面、みたいな。そんな部分がこのライトの演出から感じられて、素敵だなぁと思っていました。
ここからはその場限りの、神戸初日だからこそ生まれた解釈。
神戸初日ではこの後に麻倉ももさんが、『irodori』の主人公が「私のステージはここじゃない」と秘めつつ歌ったステージへアイドル(っぽい)ソングである『箱庭ボーダーライン』を歌唱されながら階段を降りてきました。
『irodori』の主人公が歌いたかったステージ、歌いたかった曲って、こういう曲だったりするのかなー、なんて。解釈というより妄想ですけどね。対極だからこそ、引き立つなーっと。
ブログで裏話などの連日更新で解釈も広がりました。この後予定されているリリースイベントで「リリースイベントにとっておきたいし」と仰っていたお話が聞けるのが、そこから解釈がより広がっていくのが楽しみです。
トクベツいちばん!! / 麻倉もも
手元のノートには「かー」という文字が踊ります。とんでもなく可愛いモノを見た時、僕のボールペンはノートにそうインクを落とすのです。
全く感情を言葉では囲い込めてない。言葉とは言葉たり得ないものなのでしょう。感想、感想・・・そうねぇ、
かーかった、本当に。
すごく中央ステージ映えする曲ですよね。キラキラの中歌われている姿がとても眩しかったです。「キミが」の振りが琴線です。
そんな彼女の姿を観れるのは、CDをご購入頂く事、そしてそれ以上にライブに来て頂ければあなたも様々な方向にに「キミが好きだよ」
箱庭ボーダーライン / 麻倉もも
ミニコーナー&朗読劇
着替えの間ニュース番組を模した互いのソロ活動を報道する映像が流され、それに朗読劇が連なる。
雨宮STATION
NEWS 417
NEWS MOMO
雨宮STATIONのオープニングでは、だばーっと雨が降っていましたね。
キャスター役として、声色や分節を意識して各個人・TrySailとしての情報を読み上げるお三方。
神戸初日にNEWS 417でもちょ神様が降臨された時は、朝にやってる某テーブルの上をネコがうろうろする番組を思い出しました。
2011年の声優アニメディアにて3人が参加したオーディションに向けてマネージャーの宮本さんが次の様に趣旨を語っていました。懐かしいなぁ…ってもう6年前なのか。
「事務所を設立した時に『何をどうしていこうか』という話になって(中略)声優として確固たるスキルがあればもっと色々なことが出来るんじゃないか。(中略)顔出しの芝居も出来るし、歌でより高度な表現が出来るだろうし、やれる事がいろいろあるはずだ」
「声優をベースにその人の才能を伸ばしていきましょう、ということ」
「そもそもプラスαが歌とは限らない」
声優をベースに様々な事に挑戦していく、そんな姿がアリーナという舞台でも眼前に広がっていました。
9.コバルト
『コバルト』はこれまでのワンマンライブに限らず、いろんなライブでMC後に歌われているような印象があってその度に「〜、コバルト。」と曲名がコールされると同時に立ち上がるライブの雰囲気が好きだったりします。すごく、かっこいい。
ということで、どちらかと言うと『ホントだよ』の様な曲が歌われそうな衣装で歌われだしたのは『コバルト』。
その衣装でそれを歌うのか、と驚きました。
これまでにはなかった、タイアップアニメ『Classroom☆Crisis』に近い等身大の女の子達が街中のガラス張りのビルに映る自分達の姿を見て内心に“明日も同じだって約束が欲しい”、と歌ってる様な。
この曲のこれまでとは違った新たな一面を垣間見た気がする。衣装一つでも印象って大きく変わるんだな、と。
スクリーンを三分割してのお三方それぞれを映してた演出、あまりこれまでなかった印象だけれどやっぱりカッコいい曲でやると映えるなぁ、と。
三人とも違う方へ視線をおろすところが、くおぉぉーっ!てなりました。
10.パーリー☆パーティ /11.Chip log /12.BraveSail
映像演出との動きの連動が印象的だったこの3曲。
『パーリー☆パーティ』では遂にマカロンドラゴンが顕現する。
なんだろう、マカロンドラゴンって、こう『ムカムカパラダイス』のあの恐竜(参考)くらいの愛嬌はあるのかなとは思ってたけど、結構ガッツリ…ガンコちゃんみたいな…(笑)
思い出しました。『かかわり』で触れた夏川椎菜さんの目の演技がすごく好きなお話、その気持ちの起こりとなったのがこの曲『パーリー☆パーティ』です。
最終盤の、三人が一人ずつ中央で交代しながら歌うところ、そこの夏川椎菜さんの目の使い方や表情具合がすごーーーーっく好き。
あのー、ツアー映像作品『TrySail First Live Tour “The Age of Discovery”』で24分13秒~24分15秒、24分17秒から24分29秒を観てほしい。
それで、伝わる。
コールが独特で多い『Chip log』では次曲の『BraveSail』もそうですが、手助けとして文字が表示されていました。初めて見るよって人、最近好きになったよって人も同じ様に楽しんでもらおうという意識が感じられた時間でした。うっかり右舷に出没しちゃうタコさん。
その『Chip log』の「声あげ共にオーエス」周辺は、スクリーンに吹き出しが出てきて、その真下にというか前面にお三方が立ち、まるでお三方がこちらに呼び掛けているかのような演出。
それに応える我々、楽しい(´×・)
間奏での雨宮さんのデッキダッシュをはじめとした看板の様子は、波に傾くスクリーン上の看板と共にお三方も体を傾けバランスをとろうとする、というこれまた映像との連動演出に。
大きいステージならではだなぁ、と(長距離看板ダッシュ…看板マラソンもそれはそれで見てみたかったけど)これはこれで良い演出だなぁーってすぐ好きになりました
『BraveSail』の「たどり着いた丘の上で一面の海を見つけた」では、こちらに背を向けたお三方が、ちょうどスクリーンに映し出された丘の上に立ち海を眺める。
ツアーで初披露されて以降、ずっとそこに感じてた景色が眼前に。
スクリーンに船をお絵かきして船をつくるところの無邪気感が、ねぇ。
“遅れてやってきた木製船 みんな乗れる これで行こう”
中央ステージへ光の海を渡り始める。
“3匹は仲良く船に乗る 海の先へ”
互いに柔和な笑顔を見合わせ、そして花道で間奏部分のスキップ。
“ずっとずっと進み続ける”
一歩ずつ、中央へ三人歩みを揃えて進む。
“この船は決して沈みはしない”
“今も明日も”
立ち止まりに、互いに笑顔で顔を見合わせ、
“旅をしている”
スキップで駆け出す。
13.あかね色
「次の曲は、いつもとちょっと違う感じでお届けします」と語られ届けられるのはピアノ&ハモリアレンジの『あかね色』。
これまでの公演ではそれぞれの立ち位置は少し離れていて、ソロパートを一人が歌う時、残りの二人は静かにじっとその語りをそれぞれの道を見据えて聴いていた印象が。
しかし、今回は中央ステージで大きな三角形になる様な位置取りで。
神戸公演初日では眼前に夏川椎菜さんの後ろ姿が。
そして歌詞の一番は、ハモリをいれるタイミングで相方の方に向き直り、それぞれの二人に歌い掛ける様に紡がれる。
透明な瞳の奥には
強い気持ちが溢れているから
いつまでもそのままのキミでいて
けして けして ナミダ
ながさ ないで いてね”
二番以降は三角形を保ったまま四方の『こちら』へ目を配りながら。
時には辛い日もあるけれど
なんとかやり過ごしてきたよね
どんな未来が待ってるんだろ
時間を止める魔法が 使えたらいいのに・・・
そのまっすぐに響くキミの声
いつも背中を押してくれたんだ
あかね色の風を受けて進む
キミの ゆめの いろが
くもり ません ように”
そして最後は互いに笑顔で目を合わせ頷きあって、ハーモニーを奏でる。
曲中はスポイトで胸の空気を抜かれていく気分でした。本当にこのまま時間が止まればいいのにと思いました。
僕の時間は止まっていたけれど。本当に、この言葉で形容していいのか何十分も迷ったけれど、綺麗で、心地良い旋律。
もうけつしてさびしくはない
なんべんさびしくないと云つたとこで
またさびしくなるのはきまつてゐる
けれどもここはこれでいいのだ
すべてさびしさと悲傷とを焚いて
ひとはとうめいな軌道をすすむ ”
宮沢賢治 小岩井農場(『春と修羅』)
この景色に思いを馳せる時、僕は確かにすすんでいたい。その先で笑い合えるように。
14.明日も晴れる
再び各々海上に漕ぎだす三人。客席との呼吸の間に、その場でその人との間でしか立ち現れない出来事を紡いでいく。
曲終盤では、客席全体を巻き込み一緒に歌うというアリーナならではの演出。
特別大好きで、個人的に思い入れがあって、すごく自分を変えてくれたこの曲。
横浜公演では大事な歌詞の部分を噛み締め静かに滅んでいると、雨宮天さんを乗せた船が先程まで無かった角を曲がる。
目に見えないものに振り回されたら目を凝らして誰かの手そっと握ればいい
間に柵しかない状態で真っ直ぐ手を差し出される。
ああ、またこの曲に救われた。差し出された手に甘えない様、頑張らねば。
15.sewing dream
客席からの鬨の声を推進力に変え、海上を進んでいく。航路は花道へと続き、大きなステージへ。
楽しすぎて揺れ動く水面の上に立っている様な心地でした。
16.High Free Spirits
一瞬。暗闇が照らされると、そこに黒が立ち現われていました。初めての衣装早着替えに海上にはどよめきの波が広がっていましたね。
先程までの鬨の声を受け今度は三人が爆発的なエネルギーを生み出していく。
夏川さんが次の様にパンフレットに寄せていました。
「私たちがお客さんを引っ張っていけるようなライブができたらいいなと思っています。」
その言葉を強く感じる時間でした。
特に神戸2日目、ファイナルで夏川椎菜さんが叫ばれた「ぶっとばせファイナル!」は、会場を引っ張るどころか、マンドレイクを引っこ抜いてしまったみたいな喧しさ。すごい熱量でしたね。
17.ホントだよ
今までにない「クロイセイル」風衣装でのこの曲。
これまでライブで歌われてきた可愛さに振り切った女の子ではなく、どちらかと言えば酔った小悪魔ツンデレ系のお姉さんの意外な一面、の様な。
そんなお姉さんの「めんどくーさいなんて」ははかいりょくがすごい!
18.センパイ。
少し懐かしい木造校舎風の映像が曲の世界観を彩る。
そんなノスタルジーの中イントロの歌唱の後、花道を登校する際、まるで、卒業写真を撮っているみたいに寄り添ってポーズを決めるお三方に頭がぼーっとする。
二番の“バカ”と言った後の雨宮さん、抑えきれないニヤけた表情に毎回ぐんにゃりする。
でも今回のアリーナ公演はうまく言えないけどその「バカッ!」自体がもう最高の質量を内包していて、身体が床に吸い込まれる感じ。ばー。
ここまでが本当に楽しくて、“君じゃなければ良かったな”では「君で良かったな」と心底感じていた。ぽえみー
19.僕らのシンフォニー
“皆で歌おう”という歌詞を花道で互いに視線が合いアドリブ的に寄り添って歌われていた光景が焼き付いていて、日常に戻ってから視力が悪い。
ラストサビに行く前は「いくよー!」とか、そんな類の煽りが加わっていましたね。
今回の公演での『ひかるカケラ』もそうですけど、『曲』として初めから確固として形成されているものではなくて、客席との間に無数の呼吸をすることで形成されたもの、その場限りで、まさにその瞬間生まれた、こういうライブならではのその時間や体温が言葉に宿る様な呼吸が大好きです。
20.adrenaline!!! /21.Baby My Step
「アドレナベイビー」、と『adrenaline!!!』レコーディング時から恐れられたという曲の並び。
あの楽しさを、どう言葉で濾過すればいいのか僕は知らないのでぜひ体験しに来て欲しいな。
エネルギーは動いているものに溜まる。
『adrenaline!!!』は強くそう感じた。僕も頑張らないと。
サビ終わり、お三方のジグザグクラップとジグザグお絵描きを真似するのが楽しくて好き。
あと今回神戸公演でご一緒させて頂いたお二人と、1番と2番の繋ぎのお三方のアレを互いに無意識に立ってた位置から自分の役割を把握してキメれた事が、最高に面白かったし嬉しかった。
なんか、そういう楽しいことって人それぞれで、もちろん周りへの配慮は根底にででんっと意識しつつ、あの場に居たいろんな人のそれがぎゅうぎゅうっと濃縮された様な時間の様に感じました。
曲の発売前、デビューした年から歌い続けられている『Baby My Step』では雨宮天さんによる最後の“oh マイ・ラヴ!!”が初めて甘甘バージョンになっていましたね。
目をぎゅむむっと瞑って、喉奥から絞り出すような感じで。
横浜公演で初めて不意に耳にそよいだ時、口に思いっきり角砂糖30g袋を突っ込まれた様な感覚に。
この二年の積み重ねを勝手に重ね、ただその甘さに白くなるばかりでした。
砂糖がおいしい。
22.Youthful Dreamer
ステージ脇にハンディカメラが登場し、スクリーンにはカメラに向かって悪戯っ子の様な笑顔を浮かべちょっかいをかけたり、歌詞に合わせて指を二本立てる姿が映し出される。
かー。
まだ見たことないステージへ、着実にレベルを上げて挑戦、TRYしてきた彼女達。これからも常に挑戦していくのでしょうね。
それはこれからも完成ではなくて、未完成、常に未完成のプロセスとしての行為においてそこで立ち現れてくる夢と、彼女達との物質的で感覚的な、質的な繋がりを処方箋として大事にしたいな、と、いちばん歌われてきて、いちばんいろんな景色を、思い出を内包しているこの曲に想ったのでした。
同時に、自分のオリジナルな他人と交換不可能な物語に対して背筋が伸びたような。
詩人の銀色夏生さんのエッセイ。
“お互いに高めあう関係ってどんなのだろうと考える。それは相手の生き方や生活態度を見ていて、自分もその人にみあうような素敵な人になりたいとそっと心に誓うような関係じゃないかな。思わず背すじをのばすような。”
そう、在りたいな。
普段ぜんぜんやろうと思えない事にトライする、お三方に力をもらえたから挑戦できた事、なれた自分がいた季節は真実だったと思うし、これからもそうであったら、多分幸せなんだろうな。
決めるのは自分なの
でもね一人ぼっちじゃないから
物語の言葉で今すぐ
本当のヒーローになれ!
夢を叶えて自分の未来をその手に掴め
キミの歩む人生 オリジナルな存在さ
レベル上げて飛び出せ
まだ見た事のない景色が待つ
23.ひかるカケラ
「ラストはこの曲!」という声が響くと、海上はより一層光りに充ちてスクリーンには花火が打ちあがり、満面の笑みが咲くのです。
“空の高さは気持ち次第で”で、横浜公演では階段上で横に並んだ雨宮さんの背の高さを弄る夏川さんだったり、そのままサビに続いて“こんなに広い世界で キミを見つけたよ”で互いに差し合いガチ照れして雨宮さんから逃げる夏川さんであったり、その様子を見つけた麻倉さんが猛ダッシュで駆け寄り抱きついたり、楽しそうに神戸両日もそこで遊びをいれるお三方の姿がありました。
凄く楽しそうな事が、これ程楽しく、嬉しいものなのだなあ。
そういった時間は人それぞれで、どんなに一瞬であれ、こんな僕であれ、それでも僕と言う存在を生かし続けてくれている貴重な一瞬なのだと思う。
1stアルバムのリード曲であり、これまでの公演でも最後の曲に限らず、1曲目で歌われたりと様々な公演をリードしてきたこの曲。
それと同時に、公演に限らず日々の中でも凄くあたたかな方へ手を引っ張ってリードしていってくれる、まさに『リード曲』だなって。
神戸2日目、ファイナルで見た雨宮天さんの、花道でぐるーっとその場で海上を指しながら一回転しながらの「キミがいれば大丈夫」が忘れられません。
これだけのモノを頂いているからこそ、ちゃんと自分で頑張って幸せにならないとな。
返していけたらいいな。
たまたま公演の数日前七夕という事で大好きな本を読み直していたのです。
その一節を思い出しました。
“さあ、切符をしっかり持っておいで。お前はもう夢の鉄道の中でなしにほんとうの世界の火やはげしい波の中を大股にまっすぐに歩いて行かなければいけない。天の川のなかでたった一つの、ほんとうのその切符を決しておまえはなくしてはいけない”
(銀河鉄道の夜 第三次稿 宮沢賢治)
朝までドンチャン騒ぎだった宴が終わり、椅子に腰掛けポカリを片手に上空を見上げると、『Blue Hour』の様な美しい青光の中に、ひかるカケラが確かに輝きを放ちながら瞬いていました。
-Encore-
24.TAILWIND
麻倉「こんなに人って集まるんだって思いますね。だって、みんなそれぞれ違う日常を送っているのに、同じ思いでワーッと盛り上がるというのが・・・。先輩たちのライブを見に行かせていただいたりとかしたときも、この方はふだん何をしている方なんだろう?と観察しちゃうんですよ。どんな一週間を過ごして、このライブを楽しみに待っていたんだろうとか。」
雨宮「だからこそ私たちのライブは、楽しんで帰ってもらいたいなって思いますね。」
パンフレットにその様な言葉が載っていました。
この二年間で強く最も変わったなと感じるのは、こちらを意識してくれる様なそんな語りの優しさ。
TRYし続ける彼女達をまた見たくて、「よし自分も」と走りだしたくて、また会いにいってしまうのでしょう。
TRYし続ける、そう常に仰るのは、語らずともどこか誰よりも努力しなければならないと痛感せざるを得ない場所にいるからなのかもしれません。
8月23日にリリースされる二枚目のアルバムのリード曲であるこの曲に、次の様な歌詞を聴きました。
未知なる道へと描いていくキセキ
人知れず流した涙がある
その未知なる道は想像し得ない程とても不安でとても怖いものかもしれない。
それでも、それでもなんです、どこかに彼女達は進んでいくと確信できる気持ちがあるのは。
お日様 忘れた様な
長い夜にも
月あかりは絶えず
側にあるんだ
駆け出していけ前人未到の世界へ
はやる気持ちのままに
旅は果てしない「ing」
彼女達にとって夢は果てしない「ing」であり、夢に充ちて、未知はいつか道になるのだろう。
大いなる助走であり序奏はもう終わりだ。
TrySailという船は再び帆を上げ、大海原への航海を始める。
船の燃料となるのは、もう二度と揺らぐことのない強固な"挑戦という意志"である。
-W Encore-(神戸ファイナル)
25.adrenaline!!!
なんだろうね、みんなアドレナリンがだばだばと出てすごい馬鹿になって、どこで「ハイハイハイッ!」と言っててどこで跳んでるのか分からないくらい音響とズレまくって一体感のかけらもない、本当にめちゃくちゃな一体感のかけらもない空間だったけれど、あの熱量がとーーーっても楽しくて、思い出している今でもよく分からないで笑ってるような感じです。
人間が同じ場所に集まって、同じことをするのはとんでもなく奇跡だな、って。
ただ、そうさせるのは、長年住み慣れたどこまでも平穏でだるい景色から抜け出す突破口を作ってくれる存在なのだと思うのです。
それがあなたにとって別の誰かで在る様に、僕の場合は彼女達であって、あの日海上ですれ違った人達もきっとそうなのだろうと思います。
あの時アリーナで見たサイリウムのキラキラであったり、耳にいやでも大音量で飛び込んできたずしりと質量のある閧の声であったり、その1人1人から発露されるものを体で感じた時に、なんか、こう、そんな人たちが同じ場所に集まって、同じことをするのはとんでもなく奇跡だな、って。
みんな、がんばってるんだなって、
なんだろう、あの場あの時間で偶然にもそこで同じ目的をもってすれ違えたのが、すごくエモいなぁと思いながら、ダブルアンコールははしゃいでいました。
きっとこの公演のこの景色は、火を焚かなくてもいつまでも燻り続ける慰めの源泉として今後も優しい真綿みたいに包み込んでくれるんだろうな。
そんなポエムは今だから書けるのであって、 当時はもうよく分からない感じでめちゃくちゃ楽しかった・・・なにあれ、なんだったんだあれ
最高でした。
去り際、てっぺんへ階段をのぼっていくお三方をスクリーンで出迎えたのは【祝 Harbor×Arena 完走!お疲れ様!】の文字と、マカロンドラゴンや3匹の子ブタ、ペンギンに、右舷に出現しちゃうタコやクジラという、映像演出で登場した動物たち。
ダブルアンコール見越して最初からあそこで出す予定だったのか、客退場後の会場打ち上げで使う予定だったものかは定かではないけれど、とーーっても喉奥にぎゅーっときたなぁ。
後者であったなら、スタッフさんの粋な計らいにただただ敬礼するばかり。
スタッフの皆様もお疲れ様でした、『アリーナならではの演出』、どれも心に響きました。
最高のお仕事でした、ありがとうございました。
ライブが凄く好きな理由の大きな1つが、その場でその場限りで、演者と客席の間にその場でしか生まれない呼吸が生まれる、その生まれたものをみるのが好きだから、でして。
曲の中でも少しライブ感のある歌いまわしにしてみたり、振りを大きくしてみたりアレンジしてみたり、振りじゃないその時の気持ちが発露したような仕草、とか、そういう呼吸。
ちょっと日を何日も跨いでこの記事を書いたのでもしかしたら同じことをどこかの曲で言ってるのかもしれない。
そういったモノもある意味『語り』だと思うんだけれど、MCでの『語り』そういった言葉に還元されない『語り』を通して(これまでの公演でもその気持ちを積み重ねていたけれど)この公演で感じたのは、「楽しんでもらおう」という聴き手への意識。
パンフレットにはじまり、本当に都度述べられていて、それが様々なシーンとして立ち現れていたように記憶しています。本当に、お三方とも語りが変わったなって。
雨宮天さんがブログで
リハーサルで一度もやったことのない動きや掛け声がどんどん自分から引き出されていくんです。
もっと届けたい、もっと楽しみたいし楽しんでほしい!そんな気持ちがそうさせるのですが、それを引き出しているのは他ならぬ皆さんなんですよね。
だってそんなに楽しそうに、嬉しそうにされたらもっともっと︎!!って思います。
と書かれていますが、その様な、あのアリーナ公演で溢れていた語りがどんなに嬉しかったことでしょう。
そして、アニサマであったり、いろんなアニメイベントでずっと「私達を知らない方もいると思うので」って仰ってた人が横浜アリーナ公演で
「TrySailこんなにたくさん味方がいたんですね!」って笑顔で言ってくれたことが最大の最高の肯定でした。本当に、嬉しかったです。
その得も言わぬ感情を誰かに伝えたくて、言葉として、言葉を尽くして語ろうとしていますが、伝えようと文字にした途端に輝いていた出来事も凡庸な事象にすり替わってしまってる様で、言葉足らずなのが非常に口惜しいんですけれど、
ライブに来てください。
お伝えしたいのはただ、それだけです。
そして僕が好きな景色が、あなたの周波数とビビッとかち合えば嬉しいです。
天つ風雲の通ひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ
なーーーんて言う気持ちはさらさらありません。
これからも、天の風にも負けないむしろ追い風にしちゃうくらいの勢いで雲をかき分けずっとずっと進んでいくTrySailをずっと心から応援できる立場でいられる様、僕もがんばろうと思った公演でした。
パンフレットでお三方が述べられていた通り、それ以上にアリーナらしさ、お三方らしさが詰まった密度の濃いアリーナライブでした。
レシート企画もいい試みだったと思いますし、ステッカー用のアンケートもこちらの声を届けられるので定期的にやって頂きたいですね、満足でした。
携わった全てのみなさま、公演に参加された皆様お疲れ様でした。
このアリーナ公演で横浜・神戸を通してお世話になった親愛なる皆様、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
TrySailのお三方、ありがとうございました。
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